土曜日は島根大学・第10回目の
英語スピーチコンテスト。
今回は、担当を外れてもずっと
仲良くしている元・教え子のタオ君が
コンテスタントとして出場することになり、
これは応援に行かねば!と、
前日から応援用のこんなプラカードも
気合を入れて制作することに。
同じく仲良くしている元・教え子の
カズキ君と大学正門で待ち合わせ。
「先生、僕、こんなの作ってきました。」
と、私同様、手書きの応援グッズで
カズキ君も気合が入っている。
今回は総勢16人の出場者。
医学部や教育学部、理工学部・・・と
最優秀賞を目指して会場に集まった。
どういうわけか土曜日大学駐車場が
いっぱいで、停めるところを探していたら、
コンテスト開始まで残り数分。
小走りでフーフー言いながら
ギリギリ駆け込んだ私たちの姿を見て、
H特任教授が笑っている。
タオ君の名前を書いたプラカードを見て、
「すごい応援団やね~。いまだかつて、
こんな応援団見たことないねぇ~。」
確かに。学長のオンライン挨拶から始まり、
至極真面目に開催されるこの
スピーチコンテスト、通常、会場は
し~んとしていて、応援団が、
ましてや
プラカードなんて持って行って
特定の学生を応援するのは前代未聞で。
いやいや、せっかくなら楽しまなくちゃ。
というわけで、静かに始まった
スピーチコンテストの今回のテーマはずばり、
SDGs切り口はいろいろで、ずばりSDGsとは何ぞや、から
医療について、ジェンダーについて、
あるいは偏見について・・・と様々。
今年の学生たちのスピーチのクオリティは高い。
中には見ているこちらが汗ばみそうになるくらい、
緊張して言葉が出てこない学生や、
手元のメモ帳にばかり目が行く学生もいたけど、
全般的に英語の発音も抑揚もうまい。
中には、「グレタ・ソーンバーグか?」
「マララ・ユスフザイのパクりか?」
という、人権や環境活動家の
スピーチを意識しているだろうものも。
印象的なのは、うまいスピーチだった
学生たちはみな、自己の経験を語っていたこと。
テクニックの良しあしよりも、やはり
自分自身の経験したことを赤裸々に語るのは
聴衆にストレートに響く。そういう学生が何人もいた。
やはりね、英語のうまい下手のまえに、
まずは、自身が人に伝えたいことを
明確に持っていることが大事。
英語であろうと、日本語であろうと、
その人間の経験値がものをいう。
最優秀賞に輝いたY君は、以前、
私が教えている英会話講座にも
何度か参加してくれたことがあり、
ダントツに英語力のある学生。
その彼は自身のとある経験を話した。
コンビニで遭遇した出来事。
ある国から来ていたお客さんが店を出た後、
コンビニの店員たちが、笑いながら言い放った。
「〇〇〇から来た人たちって臭いよね」
その時、ちょうどコンビニにいた自分が
感じた怒りと悲しみを切々と語った。
聴いているこちらにも彼の痛みが伝わってきた。
お互いの違いを認め合うこと、
謙虚であること、そして人の意見に
耳を傾けることができること。
そんな話で彼はスピーチを締めくくった。
予想通り、彼が最優秀賞を獲得した。
2位の学生もまた、今年の前期に担当した
1年生の男子学生、S君。彼もまた、
授業が終わると時々話をする学生だった。
「大学で、英語スピーチコンテストがあるから、
絶対出てごらん、英語力があるから、
もっともっと伸ばしていったらいいよ。」
そう声をかけていたら、本当にこうして
スピーチコンテストに挑戦していたのは嬉しい。
当日まで、出場することを知らなかったので、
タオ君の応援にプラカードを持ってる私に、
「先生、僕のも作ってほしかったぁ~!」
はい。来年また、最優秀賞をめざすなら、
でっかいプラカード用意しておくわ。
タオ君のスピーチも素晴らしかった。
滑らかで自然な英語。発音もうまい。
あとでH特任教授が、私と全く同じ
コメントでタオ君をほめていた。
内容も素晴らしく、彼もまた自身が感じた
ジェンダーについての教育の違和感について。
3位には食い込むか・・・と期待していたものの、
残念ながら賞は逃した。やはり審査となると、
アイコンタクトや原稿に目を落とさないなど、
厳しくジャッジされるので。
スピーチの内容はトップレベル。
今回、初めてスピーチコンテストを視聴した
カズキ君も、エネルギーの充電になったらしく、
いたく感激していた。来年は彼も出場するかも。