40年近く前の1983年、室田善弘さん(61)は大手旅行会社の新入社員だった。
この年の10月、都内の公立中学校の修学旅行に同行。
同僚と2人で添乗員を務め、自分がチーフを任されていた。
行き先は定番の京都・奈良で、2泊3日の行程。初日は二条城や金閣寺などを巡る予定だった。
学校から東京駅までは貸し切りバスを手配していたが、予定していた7時15分になっても来ない。
バス会社に電話すると「今日、そんな予約はありませんよ」と言われた。
室田さんが日程を間違えて依頼し、前日の確認も怠っていたのだ。
教師や生徒、保護者たちは一様に「えっ、大丈夫なの?」という表情。
なんで、たった1本の電話を怠ってしまったんだろうか。今すぐ、この場から逃げ出したい。
電車に乗って東京駅に向かおうにも、通勤ラッシュの時間帯だ。
生徒と先生、合わせて200人以上もいるというのに。
「大変申し訳ありませんが…