がんと妊娠、同時に告知 でも「産みたい」、エコー写真で変わった私
「何かのまちがいであってほしい」
半信半疑で向かったがん検診の再検査。医師からこう告げられた。
「子宮頸(けい)がんでまちがいない。子宮をとらないといけない」
2017年10月、群馬県の30代女性は頭が真っ白になった。
さらにこう伝えられた。
「妊娠しているよ」
3歳上の彼と出会ったのは、その3年ほど前のことだった。
彼は開業したばかり。なかなか結婚に踏み切れなかった。
プロポーズを受けたのは、17年5月。彼のアパートで朝食をつくっているとき、「結婚しよう」と言われた。
答えはもちろん「はい」。
彼の両親にもあいさつに行った。
結婚式はいつにしようか。そんなことに思いをめぐらせていたある日、生理中ではないのに出血があった。
「がんがあるかも」
同じころ、子宮頸がん検診の案内が自治体から届いた。この年はいつもとは違う婦人科を予約してみた。
すると、そこで予想もしていなかったことを言われた。
「できて何年かたっているがんがあるかも」
「そんなはずはないと思います」
20代から子宮頸がん検診や会社の健康診断を欠かさずに受けていた。
「いや、すぐにできたがんではなさそう」
すぐに大きな病院を紹介された。
そこで告げられたのが「がんと妊娠」だった。
「産むことはできないよ」
人工妊娠中絶をして、子宮をとる手術をすすめられた。
「がん」という言葉が重すぎて、妊娠のことは何も考えられなかった。
診察を終え、彼に結果を伝えた。
「大丈夫だよ。何があっても大丈夫。どんな結果でもなるようになる」
彼は優しく励ましてくれた。
「子宮をとる」という医師の言葉がとてもつらく、食欲も元気もなくなった。
なんとか子宮を残せないかと思い、東京都内の大学病院に電話した。
「予約はとれませんが、初診で来たら診ることはできます。何時間待つことになるかわかりませんが……」
朝一番で、病院に並んだ。
だが、「中絶をすれば検査できる。検査をしなければ、子宮を残せるかわからない」の一点張りだった。
子宮を残したい。おなかの赤ちゃんも、できることならば産みたい。
なにか方法はないのか、医師に尋ねた。
「ここではできないけど」
「どこならできますか」
群馬県に住む30代の女性は子宮頸がんと診断されると同時に、妊娠していると告げられました。おなかの子どもに会いたい。でも、がんの治療をしながら妊娠を続けられるのか。葛藤の日々が始まりました。
「えー。新潟だったかな………