スキルス胃がんステージ4、「なぜ32歳で…」真っ赤な血を吐いた

[PR]

 「まさか自分が……」。

 15~39歳の世代は、毎年約2万人が新たにがんと診断されています。AYA世代とも呼ばれる若年性のがん患者が経験を語ります。初回は、32歳でスキルス胃がんになった奥村広哉さん(36)です。

おくむら こうや 1985年、神奈川県出身。大学卒業後、2008年に教育企業に入社し、営業や人事を経験。人材業界を経て、現在は事業会社の人事、新規事業責任者。

 2017年5月、人生で初めての人間ドックを受けました。当時、特にからだに気になるところがあったわけでは全くなく、「30歳を過ぎたので一度しっかりと検査してみるか」という軽い気持ちでした。

 人間ドックなので胃カメラがあり、前職時代にできた胃潰瘍(かいよう)の名残らしきものを見つけました。念のため胃壁の細胞を採取し病理検査をすることになりました。

 数日後に届いた結果は、悪い数値はどこもなく、生検の結果も問題なしという診断でした。

 しかし一点だけ、ピロリ菌がいるということがわかりました。

 ピロリ菌がいると将来的に胃がんの発症リスクが高まるという説明を受けたので、のみ薬で菌を除去することにしました。

 しばらく薬をのみ再度検査をしたところ、除去できたということがわかり一安心しました。

げっぷ、食べ物の逆流「異常だ」

 しかしその後、夏ごろから少しずつ体調の異変を感じるようになりました。

 まず、食べるとげっぷがよく出るようになりました。その後、食べたものが逆流してくるような感覚に変わっていきました。

 何だかおかしいなと思い、人間ドックを受けた医療機関の先生に相談したところ、「ピロリ菌除去で使った薬の副作用だろう」とのことでした。

 「先生がそういうなら大丈夫か」と思いながらも、症状がなくなる気配はありませんでした。それどころか、9月ごろになると食道の奥の方で食べ物がつかえて胃に落ちないようになり、食後に吐いてしまうようになってしまったのです。

 会社でお昼を食べる時もしっかりのみ込めず逆流してくるので、トイレや外の茂みで吐いていました。

 「これは明らかに異常だ」

 そう思ってはいたものの、「…

この記事は有料記事です。残り2459文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません