第4回栗原はるみ 私のための「おいしいね」 ひとりご飯を楽しみたい

有料記事栗原はるみ おいしいね、が聞けたから

聞き手・山内深紗子
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 《元気になるために、「ひとりご飯」の本をつくろうと決めた》

料理家・栗原はるみさんに半生を聞く連載「おいしいね、が聞けたから」。全4回の最終回です。

 ずっと家族のために料理を作ってきたからか、ひとり暮らしになり、自分のために料理することがおっくうだと感じてしまいます。

 これじゃいけない。自分の「おいしい」のために、ちゃんと作って食べたい、と強く思うようになりました。同じ境遇の方の力にもなれればと、週末はひとりご飯の試作と向き合っています。1年間続けて、ひとりご飯の本を作ってみようと思っています。

 1人分って難しいです。まず、1回では食材を消費できないことが多い。豆腐が半分残ると、翌日また豆腐……。食べる気がしない。でも、なぜか小さい豆腐を買うのは癪(しゃく)なの。そこで、一度に食べきれる量の豆腐を作るレシピを考案しました。大好きなサラダも、買った野菜を食べきれないと罪悪感が残るので、食べきれる分だけ収穫できるよう、庭で育て始めました。バジルなんかも以前は、あったら便利じゃない?という程度でしたが、「この人たち、ほんと大事だわ」って。今は、パートナーですから(笑)。

 《日々のひとりご飯で大切にしているのが、スープづくりだ》

 おいしいスープを自分のために手間をかけて作ることも大切にしています。だしがおいしいと元気になりますから。

 お気に入りは昆布と鶏がらのだしです。これに生クリーム、牛乳、コーンを入れてとろみをつければコーンスープがすぐできます。だしをとった後の鶏肉は、バンバンジーやよだれ鶏に。

 冷凍も日常に。ご飯も冷凍す…

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この記事を書いた人
山内深紗子
デジタル企画報道部|言論サイトRe:Ron
専門・関心分野
子どもの貧困・虐待・がん・レジリエンス
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    大村美香
    (朝日新聞記者=食と農)
    2022年9月26日17時35分 投稿
    【視点】

    「自分のおいしいのために」、素敵な言葉だと思います。女でも男でも、結婚していてもいなくても、人生の最終盤、1人で食卓に向かい、食事をする可能性は誰しもあります。その時に、食事を楽しみおいしいと思えるか。おいしいと感じる食卓を自分で整える力を

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