サッカー界の「欧州一人勝ち」は続くのか 人材育てるFIFAの思惑
国際サッカー連盟(FIFA)が各国のクラブ経営に携わる人材強化に乗り出している。
新設された育成コースに世界中から集まった1期生は32人。アジア人として唯一、受講したJ1鹿島アントラーズの春日洋平マーケティングダイレクター(44)によれば、1年を超えるコースは実践的で刺激に満ちたものだったという。
クラブ経営を強化するFIFAの狙いはどこにあるのか。透けて見えてくるのは、ワールドカップ(W杯)も含めた、サッカー界への危機感だ。
「キーワードは、サッカービジネスにおける持続可能性だった」
「Diploma in Club Management」と名づけられたコースは、クラブ経営全般についての最先端のノウハウや情報を集めて進められた。
春日さんが参加したコースは2021年3月にスタートし、主にオンラインで10回の講習を重ねた。今年5月にFIFA本部のあるチューリヒ(スイス)で4日間の最終講義と修了式が行われた。すでに第2期のコースがこの9月から始まっている。
1期生の32人は世界中から応募してきた約400人から選考で絞り込まれた。欧州や南米で実際にクラブ経営の中枢にいる幹部や、当時は中国プロリーグ・広州恒大監督だった元イタリア代表選手のファビオ・カンナバロ氏ら強化現場に携わる立場の人間もいた。
テーマは、経営や財務、危機管理、スタジアム運営のほか、アカデミー(育成下部組織)やスカウトなど幅広い分野に及んだ。
4人ずつのグループに分かれて、情報交換をしながら議論を深めていく。お互いに携わるクラブの現状や課題に当てはめて解決策を提示し合った。
「コース全体に共通したキーワードは、サッカービジネスにおけるサステイナビリティー(持続可能性)だった」と春日さんは明かす。
世界中からヒトとカネが流れ込む欧州サッカーの隆盛は続くのか。W杯はこの先も魅力的なコンテンツであり続けるのか。現状を否定することも辞さない、タブーのないテーマ設定に驚いたという。
たとえば、欧州5大リーグ(…