第3回「患者」からのキスで崩れた私のルール 続く戦争、彼の完治が怖い

有料記事 それでも、あなたを 愛は生きる力に 2022-23

イワノフランキウスク=根本晃
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連載「それでも、あなたを」ウクライナ編③

【ウクライナ編①】砲弾に奪われた体の自由 彼女に別れを告げた僕に訪れた、運命の恋

戦争が続くウクライナ。前線で重傷を負った志願兵のアルチョームは、病院で出会った理学療法士のマルタに引かれていきます。苦難の中を生き、絆を深めていく2人を追いました。

 ロシア軍の迫撃砲弾で傷ついた左足はまだ、動かない。

 志願兵としてウクライナ東部の激戦地に赴き、負傷して西部イワノフランキウスクの病院に送られたアルチョーム・ルトチェンコ(31)。1カ月間のリハビリを経て、松葉杖を使って歩けるようになっていた。

 だが、再び自らの足だけで歩き、走るためには、退院したこれからも通院治療を続ける必要がある。

 2022年7月、アルチョームは街のアパートでワンルームの部屋を借りた。

 手もとには、一人の理学療法士の連絡先があった。

 入院中にリハビリを支えてくれたマルタ・ミレニカ(30)だ。足に合うサポーターを探してくれていたマルタに、アルチョームは「念のため」と言って、連絡先を聞いていた。

 マルタにひきつけられた理由を、自分でもうまく説明できない。強いて言うなら、クールな顔立ちの彼女が、飾らず思い切り笑う瞬間が好きだった。

 マルタは負傷兵が療養する病院でボランティアとして働く一方で、自分が経営する小さなクリニックの仕事も続けていた。

「君じゃなきゃダメなんだ」 始まったリハビリ

 「実はまだ、こっちにいるん…

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この記事を書いた人
根本晃
イスタンブール支局長|中東・欧州担当
専門・関心分野
国際政治、トルコ、ガザ、ウクライナ、語学
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