失語症で「あいうえお」から学び直し 出口治明さんが伝えた3文字

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A-stories「出口治明さん 言葉を取り戻す」

 立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さん(74)は、脳出血の後遺症による右半身まひに加え、失語症と闘っていた。

 リハビリを始めて3カ月後。「歩く」と「話す」のどちらを選ぶのかを迫られ、「話す」を選んだ。

 歩行訓練をしていた理学療法の時間は、レンタルした電動車いすを左手で操作する練習の時間に変わった。最初は苦労したが、少しずつ、コツをつかんでいった。

 一方で、話す力の回復はなかなか進まなかった。

 出口さんは、耳で聞いたことの理解はできていても、話すことが難しい「ブローカ失語」だった。「はい」や「いいえ」で答えられる質問にはうなずいて返事ができても、意味のある単語や文章は出てこなかった。

 口にしたい言葉があっても、1音目が出るまでに時間がかかり、声もかすれてしまう。

 言語聴覚士の瀬尾沙記江さんは悩んでいた。出口さんの目標は「学長の仕事への復帰」だが、ここまで後遺症が重いのに、仕事への復帰という高い目標を掲げた患者には出会ったことがなかった。

「これしかない」言語聴覚士が賭けたリハビリ法

 一般的な訓練では、耳で聞い…

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