小中高生の自殺が過去最多、学業や進路の悩みも 小児科医らの危機感
2022年に自殺した小中高校生の数が過去最多だったと、国が発表しました。家庭の問題や友人関係など、様々な要因があるとみられますが、特に中高生では学業や進路の悩みが上位にあがり、コロナ禍の影響も指摘されています。どのような対策が必要なのでしょうか。
「学業不振」が83人
警察庁のデータによると、22年の小中高校生の自殺者数は514人。統計のある1980年以来、過去最多だった。高校生が354人と7割近くを占め、中学生は143人、小学生は17人だった。
原因や動機は、本人が残したものや遺族からの聞き取りなどをもとに、四つまで計上される。
最も多かったのは「学業不振」(83人)。次が「進路に関する悩み」(60人)だった。
それ以外は、「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)」(56人)、「学友との不和(いじめ以外)」(49人)、「うつ病の悩み・影響」(44人)、「親子関係の不和」(40人)と続いた。
2009~21年の長い期間の統計を見ると、小学生は「家庭問題」の割合が高く、小学生は、「家庭からの叱責(しっせき)・しつけ」が全体の2割を超えていた。中高生は「学校問題」の割合が高い傾向があり、学業不振や進路の悩みが上位に来ていた。
東京都の課長「悩みの原因の根本に」
東京都庁で自殺予防策を担当する向山倫子・健康推進事業調整担当課長は、「自殺の理由はわからない領域が非常に大きく、色んな要因を積み重ねていることが多い」とした上で、「的外れな対策をとらないために、国レベルでの理由の分析は必要だ」と話す。
学校でのいじめを苦にした事件が大きく報道されることが多いが、統計では以前から、進路の悩みや学業不振、家庭内の不和が動機の上位に来ていた。
「都の対策は、電話やSNSでの相談支援に重点を置いているが、悩みの原因を根本的に解決するために教育委員会や児童相談所、生活困窮対策の部署など関係機関と連携したり、自殺未遂者へのサポートをしたりすることももっと必要だと感じている」という。
記事後半では、小児救急の現場にいる医師に実態を聞き、国立成育医療研究センターの小児精神科医にコロナ禍での急激な変化や身近な大人ができることを聞きました。
多摩北部医療センター小児科の小保内俊雅部長によると、専門家の間でも、長年、子どもの自殺の要因で学業不振や進路の悩みが多いことが指摘されてきたという。
搬送されてきた子どもの手当…