1990年代の政治改革を経て、首相官邸主導が強まった。岸田政権もそうした歴史の延長線上にあるが、歴代の自民党政権や首相と比べ、どんな違いや特徴があるのか。現代日本政治や自民党に詳しい中北浩爾・中央大教授に聞いた。
――岸田政権の発足から1年7カ月が経ちました。岸田文雄首相は、首相としてどんな特徴がありますか。
岸田氏は自らが率いる宏池会(岸田派)の特質について、「リベラル」ではなく「リアリズム(現実主義)」と強調する。状況にきちんと対応していこうという発想が強い。
宏池会を創設した池田勇人首相(在任期間60~64年)は本来、政権が掲げた「低姿勢」や「寛容と忍耐」とは全く違う人物だった。安保闘争という現実に直面し、それらを招いた岸信介内閣からの「チェンジ・オブ・ペース」を側近が中心となって意図的に演出した。
「宏池会=リベラル」の図式は、池田政権の統治スタイルが次第に理念化されてできたイメージであり、岸田氏が宏池会をリアリストと規定することは間違っていない。ただ、あえて既存のイメージを変えようとしているのは、岸田氏らしさだろう。
――リアリストとして、岸田氏は何をやりたいのでしょうか。
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