第7回「やりたいことがない」岸田政権、物足りなさが強みに 中北浩爾さん

有料記事岸田官邸の実像

聞き手・石松恒
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 1990年代の政治改革を経て、首相官邸主導が強まった。岸田政権もそうした歴史の延長線上にあるが、歴代の自民党政権や首相と比べ、どんな違いや特徴があるのか。現代日本政治や自民党に詳しい中北浩爾・中央大教授に聞いた。

 ――岸田政権の発足から1年7カ月が経ちました。岸田文雄首相は、首相としてどんな特徴がありますか。

 岸田氏は自らが率いる宏池会岸田派)の特質について、「リベラル」ではなく「リアリズム(現実主義)」と強調する。状況にきちんと対応していこうという発想が強い。

 宏池会を創設した池田勇人首相(在任期間60~64年)は本来、政権が掲げた「低姿勢」や「寛容と忍耐」とは全く違う人物だった。安保闘争という現実に直面し、それらを招いた岸信介内閣からの「チェンジ・オブ・ペース」を側近が中心となって意図的に演出した。

 「宏池会=リベラル」の図式は、池田政権の統治スタイルが次第に理念化されてできたイメージであり、岸田氏が宏池会をリアリストと規定することは間違っていない。ただ、あえて既存のイメージを変えようとしているのは、岸田氏らしさだろう。

 ――リアリストとして、岸田氏は何をやりたいのでしょうか。

 安倍晋三氏の場合、憲法改正

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この記事を書いた人
石松恒
ネットワーク報道本部兼政治部次長|連載「8がけ社会」担当
専門・関心分野
国内政治、選挙、民主主義、人口減少
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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2023年5月9日21時0分 投稿
    【視点】

    政権としての物足りなさが、なんだかんだいって政権の長期化につながるようであれば、かつての55年体制の時のように、派閥の長となって調整型の政治を続けていくことが日本の政治において正解となる時代が戻ってきた、という感じを受ける。これまで小泉、安

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    プチ鹿島
    (時事芸人)
    2023年5月12日18時41分 投稿
    【視点】

    岸田首相は「何をやりたいの分からない」という感じは就任当初からありました。なので私は当時「本当は怖い岸田政権」と名付けました。ビジョンがなくこだわりがない様子はなんでも飲み込んでしまいそうに見えたからです。昨年の正月、健在だった安倍氏は読売

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