第1回17分間の惨劇、奪われた六つの命 予想外だった児童たちの表情
容疑者は校舎の扉に近づくと、銃を連射した。
8回ほどの銃撃。ガラスが粉々に散った。枠に残る破片を蹴って外しながら、体をくぐらせ、中へと入っていく。3月27日午前10時10分のことだった。
米テネシー州ナッシュビルにあるコベナント小学校には、日本でいう幼稚園児から6年生まで約200人が通う。キリスト教系の私立校だ。ナッシュビル市警が事件後に公開した防犯カメラの映像には、容疑者のオードリー・ヘイル(28)の姿が記録されていた。
赤い帽子、ベストに迷彩柄のズボンという格好のヘイルは、手袋をはめ、殺傷能力の高いアサルトウェポン(突撃銃)2丁と拳銃を携えていた。
警報ランプが点滅するなか、銃をかついで校内を物色していく。一つの部屋に入ると、1分もしないうちに出てきて別の部屋へ。廊下を歩き、また突撃銃の引き金を引いた。
【連載】銃の国の子どもたち 小学校乱射事件から考える
米国社会に根を張る銃は、命を奪う凶器か、安全と自由を守る手段なのか。政治の分断と結びつき、規制は進みません。それでも子どもの未来を考え、行動する人々がいる。ある事件を起点に「銃の国」の葛藤を描きます。
複数の銃声が響いた2階
午前10時13分、市警に「…
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- 【視点】
2023年だけで340件の銃乱射事件。 米国での銃規制の難しさは市民の武装権あるいは抵抗権が記された憲法修正第2条の規定によると言われている。憲法はアメリカそのものを規定するものだ。だが昨今のアメリカは民主党、共和党で意見が完全に分かれて
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