タブー解けたジャニーズ報道 タレント依存のメディアは自己変革を
神里達博の「月刊安心新聞+」
故ジャニー喜多川氏による性加害問題は、日本社会を動揺させ続けている。今は毎日のように報じられているこのテーマだが、つい数カ月前までは、それを公に語る者は、この社会には、ほぼ存在しなかった。
まずは、この問題がいかにして社会的なアジェンダ(議題)になったのか、その経緯を確認したい。
本件が今年になって社会問題化した最初の契機は、英国放送協会の「BBC Two」で放送された「Predator」というドキュメンタリーだ。この言葉は普通「捕食者」と訳されるが、「性的に人を食いものにする者」という意味もある。
BBCには複数のチャンネルがあり、「Two」は日本で言えばNHK・Eテレ(教育テレビ)に相当する。番組では、ジャーナリストのモビーン・アザー氏が東京を訪れて取材を重ね、ジャニー喜多川氏による性加害の実態と、それがあたかも存在しないかのように扱われてきたことの重層的な背景に、迫っていく。
この番組は、まず3月7日に英国のプライムタイムで、さらに3月18日には「BBCワールドニュース」で日本でも、放送された。だがこの段階ではまだ、週刊文春など一部のメディアが反応するにとどまった。
この問題が本格的に注目を集めたのは、元ジャニーズJr.であるカウアン・オカモト氏が4月12日、日本外国特派員協会で自らの性的被害を直接訴えたことによる。その日のうちに朝日新聞デジタル版に記者会見の詳細が掲載され、また翌日にはNHKが地上波のニュース及びウェブメディアでこのことを伝えた。
決定的だったのが、5月17…
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