ポストコロナの日中交流の「神の一手」は 中国の学生がつづった思い
今年は日中平和友好条約の締結から45周年。コロナ禍による往来の障壁がなくなった今、日本語を学ぶ中国の学生たちは徐々に回復し始めた対面交流にどんな希望を抱いているのか。第19回「中国人の日本語作文コンクール」の上位入賞者たちの思いを紹介する。
交流に囲碁の知恵を
最優秀賞(日本大使賞)に輝いた吉林大の趙志琳さん(21)は、日中両国で長い間親しまれてきた囲碁を題材に、対面交流が可能になったポストコロナ時代の両国の交流のあるべき姿をつづった。
きっかけは人気漫画「ヒカルの碁」。2020年、中国で公開された実写ドラマにひかれ、SNS上で同じ作品のファンの日本人と友人になった。しかし、時はコロナ禍。オンラインでのやりとりが続いた。
昨冬、中国でも厳しいコロナ対策が終わり、国境を超えた行き来が可能に。友人と上海で会えることになり、初めて対面で碁盤を挟んで向かい合った。「負けたけど、うれし涙を流した」。そして、「手筋」や「大局観」といった囲碁の言葉について話に花を咲かせたという。
趙さんはこうした体験をもとに、顔を突き合わせた対面交流こそ「心に触れるものだ」と訴えた。
中国には、全体のもとで各部分が互いに協調し合って一つの対局を織りなす様子を表現した「一盤碁」という言葉がある。
趙さんは日中関係をその「一盤碁」に重ね、両国は「対立する敵の関係ではなく、平和発展のために戦う友軍」であるべきだと訴え、対面交流を通じて信頼できる仲になることこそ「神の一手」だと結んだ。
中学生の頃に「源氏物語」や「人間失格」といった日本の文学に触れ、日本に興味を抱いた。今後の目標は日本への留学。すでに韓国語もマスターしており、将来は研究や外交を通じて「東アジアの国際関係に関わる仕事がしたい」と意気込んでいる。
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