世界で衝突多発、崩れる戦後秩序 対話重ね全面戦争への拡大防げ

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記者解説 国際報道部・牧野愛博

 ロシアによるウクライナ侵攻に加え、中東でも紛争が起きている。パレスチナ自治区ガザ地区ではイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘で、多数の市民が死傷している。中東イエメンの反政府武装組織フーシもハマスと共闘し、米軍と対立している。

 世界ではナゴルノ・カラバフ紛争や、旧ユーゴスラビアのコソボでのアルバニア系住民とセルビア系住民との対立など、緊張が高まる地域が相次ぐ。

 中国は南シナ海の島の権利を主張し、軍事拠点化を進めている。国際機関の「常設仲裁裁判所」は主張を否定したが、中国側は受け入れていない。北朝鮮は11月、軍事偵察衛星を打ち上げた。南米のベネズエラは、隣国ガイアナの一部の領有権を主張する。

 第2次世界大戦の反省から、国際法の支配による平和が目指された。国連が設立され、加盟国は武力行使を慎むことが憲章で規定された。国際人道法も整備された。

 東西の冷戦後の1995年、戦後秩序の象徴とされた核不拡散条約(NPT)の無期限延長が決まった。ある外務省幹部は、経済や軍事で優位になった米国のもとで、「欧米諸国は当時、自分たちが思い描いた秩序が世界に浸透していくと考えていた」と振り返る。

 だが、足元では米国の政治は動揺している。世界の安全保障への関与は更に弱まるとの見方もある。東京外国語大学の吉崎知典特任教授(戦略論)は、いまのところアジア地域で軍事的な力の空白は生まれていないとしつつ、「ウクライナに続き中東でも戦乱が起きたため、米政府や議会の関心が分散する可能性がある」と話す。

ポイント

 第2次大戦後の秩序や国際法の支配が崩れつつあり、世界各地で衝突が相次いでいる。米バイデン政権には余裕がなく、安全保障分野で日本にさらなる協力を求めている。日本は防衛力の強化を急ぐと同時に、中国との衝突を避けるべく対話も重視すべきだ。

 米上院は12月6日、ウクラ…

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