羽田空港で起きた航空機同士の衝突・炎上事故で、国の運輸安全委員会が原因究明の調査を進めています。鉄道や船の事故でも名前を聞く組織ですが、警察の捜査とはどう違うのか。成り立ちや役割を解説します。
Q 羽田(はねだ)空港の航空機衝突(しょうとつ)・炎上事故で、運輸安全委員会はどんなことをするのか。
A 運輸安全委は国土交通省の外局(がいきょく)で、航空機と鉄道、船舶(せんぱく)の「事故」と、深刻(しんこく)な事故につながるおそれのある「重大インシデント」について、原因究明(きゅうめい)の調査を行う機関だ。2008年10月、航空・鉄道事故調査委員会と海難審判庁(かいなんしんぱんちょう)を組織再編(そしきさいへん)して設置された。委員長と12人の委員、東京の本部と地方の出先に75人前後の事務官と105人前後の調査官がいる。現在の武田展雄(たけだのぶお)委員長は元東京大副学長で専門は先端(せんたん)エネルギー工学。3人いる歴代委員長はいずれも研究者出身だ。調査結果をもとに、再発防止や被害軽減(ひがいけいげん)のための対策について報告書をまとめる。
Q 調査はどう行うのか。
A 事故が起きると調査官が現地に派遣(はけん)される。調査官は事故の関係者に話を聞いたり、現場に立ち入ったり、原因究明に必要な物を提出してもらったりする。航空機事故ではフライトレコーダーやボイスレコーダーの解析(かいせき)や、機体の損傷状況(そんしょうじょうきょう)も確かめる。事故を起こした組織に潜(ひそ)んでいたリスクを洗い出し、事故の背景(はいけい)まで掘(ほ)り下げて調べるようにしているという。
Q 警察などの「捜査(そうさ)」とどう違(ちが)うのか。
A 警察の捜査が刑事責任を…
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