羽田空港で1月に起きた航空機衝突事故の翌日、航空の現場で働く人たちが集まる航空安全推進連絡会議は、刑事捜査より事故調査を優先することを訴える緊急声明を出しました。航空機事故をめぐる日本の体制のどこに問題があるのか。事故を防ぐためには何が必要なのか。現役の旅客機機長でもある永井丈道議長に聞きました。
――航空安全推進連絡会議は、羽田空港での事故翌日の1月3日に緊急声明を出しました。その理由は。
「航空安全推進連絡会議は、パイロット、管制官、客室乗務員、整備員など、民間航空の現場で働く人々が安全向上と事故の撲滅に取り組む組織です。42の労働組合が母体で、合計で約1万人が加盟しています」
「テレビの報道があったときは、われわれも一体何が起こったのかわかりませんでした。しばらくして、2機の飛行機が衝突したらしいというのが明らかになり、一夜明けて、警察が捜査に入るという報道が出ました」
「事故原因究明よりも先に犯人捜しが始まるという、日本の良くないスタイルに陥るのではないかという危機感を覚えました。主要メンバーが遠隔で連絡を取り合い、事故翌日の1月3日のうちに、臆測ではなく正確な情報を伝えること、刑事捜査より事故調査を優先することを訴える声明を出すことにして、緊急に発信したという流れです」
――「犯人捜し」への危機感があったわけですね。
「典型的な例は、1997年…
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- 【視点】
「日本の航空行政には、事故をシステムで防ぐのではなくて、人で防ごうという発想が依然としてあるようです」という永井氏の指摘に目からウロコが3枚ぐらいはがれ落ちた。制度や規則を整えるのではなく、人が頑張る──これは航空行政に限らず日本の至る所で
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