欧米メディアも報じた地震被害と羽田事故 日本の報道と違った理由は

有料記事

[PR]

津山恵子のメディア私評

 能登半島地震と東京・羽田空港での日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機同士が衝突した事故は、ニュースが少ない年始の欧米メディアを覚醒させた。海外メディアでは生々しい被災地ルポや航空機事故の救出劇が主に報じられた。その報じ方の違いから、日本のSNSでは国内メディアに対する批判も聞かれた。

 「こうした地震に耐えるよう造られていない木造の家屋が多いようです」「震源地となった街に向かおうとしています。(中略)見てください。こうした通行止めの道路に次々と行き当たるのです」。英BBCのジーン・マケンジー記者は地震発生の翌日、1月2日に現地に入り、映像ルポ「道路が寸断され救助が難しく……BBC特派員が被災地に」を報じた。撮影場所は能登半島とされ、地震で破壊され、波打つ道路を描写。救急車などの緊急車両が左右に大きく揺れながらも現場に向かう映像もある。

 同記者の次の映像は「BBC記者、輪島市に入る 煙がまだくすぶる朝市通りの火災現場から」で、3日朝に現場にたどり着き、ルポしたものだ。「私たちが今まで見たどこよりもはるかにひどい被害状況です」とリポート。煙が立ち上り、まるで爆弾が落ちたかのように真っ黒く平たく崩れた朝市通り、道路に半壊・倒壊した家屋の映像を繰り出す。

 二つの映像は確かに生々しく、優れたものだ。インターネット上にアップされており、日本からでも視聴できる。日本のX(旧ツイッター)などSNSでも話題になり、「映像が美しく説得力がある」「国内メディアではなく海外メディアでニュースを知るというのはおかしい」といった反応が目立った。しかし、当事国と外国ではメディアとしての役割が異なることには留意が必要だ。

 英国を代表する公共放送BB…

この記事は有料記事です。残り1569文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    浅倉拓也
    (朝日新聞記者=移民問題)
    2024年1月14日14時48分 投稿
    【視点】

    海外の報道に比べ、日本の大手メディアの報道はダメだという指摘はよく見聞しますが、津山さんのこの論評はたいへん客観的で的確だと感じます。 私もかつて英字新聞の記者をしていて、「日本の報道は発表を正確に報じるだけで、深い分析や鋭い視点がない」

    …続きを読む