女性執行役員5人増 伊藤忠副社長に聞く 特例措置に込めた思いとは

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聞き手・青田秀樹 益田暢子
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 伊藤忠商事が4月、いまは1人だけの女性執行役員を6人に増やす。時間を買うという「特例措置」で性差解消を急ぐ。小林文彦副社長CAO(最高総務責任者)は「社会にあわせて会社も変わらねばならない」と話す。

 ――取締役、監査役も含めた女性役員の比率が12%から21%になります。

 「『朝型勤務』などの導入で男女を問わず働きやすい職場をつくり、課長級以上の役職者を増やしてきました。それでも約3300人の総合職社員のうち女性は400人ほどです。かつては採用が少なかったため、その8割近くが20~30歳代です。将来は役員候補に育ってくれるはずですが、すぐには難しい。母数が少ない状況では、何らかの手を打たないと、この先10年ほどは女性の登用増に現実味が乏しいと考えて一気に登用することにしたのです」

 ――「女性役員が2割超」という数字を意識しての5人増でしょうか。

 「21%は結果であり、意識したわけではありません。ただし、1人増とか2人増というだけでは意識改革へのインパクトが小さい。会社の強い意思を示すためには一定の人数が必要だとは考えていました」

 ――執行役員ではなく女性の社外取締役を増やしてきたのが従来の日本企業です。

 「社内で育てていくプロセスがなければ企業価値は高まりませんし、持続可能でもありません。少し無理をしてでも女性を抜擢(ばってき)、登用しようと判断しました」

 ――そう考えた背景は。

 「国際的にみて日本の状況は極めてお粗末です。世界経済フォーラムの指数では、ほとんど最下位に近い状態です。日本では女性が活躍できないということを、あからさまに突きつけられています。伊藤忠は、国際的な企業としてどう向き合うのか、示す必要があります」

 ――社内的にはどうでしょう。

 「いま、(生理をはじめとする女性特有の悩みを先端技術を使って解決する)フェムテックの事業に力を入れています。希望者を募っての取り組みで、半数が男性です。私の世代には驚きですが、若い人たちは、平気というか当たり前の話のようです。若い世代では男女のバイアスが少なく、男女の平等は当たり前の話になっています。少しでも性差別的なことがあると、女性だけでなく男性のやる気もそぐ。そんな社会になっています。会社も変わらねばなりません」

「ゲタはかせてる」という指摘には

 ――女性のみを対象にした選考ルールだという特例措置は、どんな内容ですか。

 「社内でも開示しておらず詳…

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