明治屋 摩天楼のもとで、変わらずに カウンターなどそのまんま移転

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河宮拓郎=ライター
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明治屋(大阪)

 1938年に創業し、阿倍野筋で70年以上営業。2010年に再開発による立ち退きで店を閉じ、翌年春、「あべのキューズタウン」の一角に再び「酒」と大書されたのれんを掲げた。カウンターはもとより、テーブル、腰掛け、終電を逃さぬよう5分進めた大きなネジ巻き時計まで、大枚はたいて旧店からそのまんまここへ移したのは、4代目店主・松本芳隆さんと妹・英子さんの大英断だ。

 愛媛「川亀」に杉の香りを移したたる酒を燗(かん)で頼めば、特注の燗つけ器・銅壺に、やはりすり切れた升で酒をジョロロ。二杯酢で〆た名物のきずしは、芯だけセミレア、さりとて周囲も酢に漬かりきることはない良き締まり方。「このサバ、泉北の親しい魚屋から仕入れるものでないと」と芳隆さん。当然不漁もあるから「大変なんですわ」と苦笑い。

 日も傾く頃、増えてきた客の…

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