米旧型機だった大統領ヘリ 墜落事故から見えた対イラン制裁の道のり

有料記事今さら聞けない世界

聞き手・岩田恵実
[PR]

 イランのライシ大統領が5月19日、ヘリコプターの墜落事故で死亡しました。イラン当局が原因究明を進めているところですが、墜落したヘリが1960年代の米国モデルだったことがわかりました。なぜ米国と対立するイランの大統領がそんな古い米機を使っていたのか。そこには、79年のイラン革命以降の米国による制裁の影響があります。いったいどういうことなのか、日本エネルギー経済研究所中東研究センターの坂梨祥・副センター長(現代イラン政治)に聞きました。

 ――米国がイラン制裁を始めたのはなぜですか。

 革命前のイランは親米王政下にありました。それがホメイニ師を精神的指導者とするイスラム勢力の革命で覆され、今のイスラム共和国体制が成立します。

 対米関係は悪化し、イランの学生らが在イラン米国大使館を占拠して外交官らを人質にとった米大使館占拠事件を機に、米国は80年、イランとの国交を断絶しました。その後制裁を開始し、95年に全面禁輸を発表しました。

全面禁輸の一方で抜け道も

 対イラン制裁の理由は三つです。①テロ支援国家であること②中東和平に反対していること、そして③大量破壊兵器を開発していることです。

 「テロ支援」とは、レバノン…

この記事は有料記事です。残り1872文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
岩田恵実
国際報道部
専門・関心分野
中国、事件、災害