赤裸々な感情、A5判にとじ込んだ 私の「地震日記」後世の誰かへ

有料記事写真ルポ 能登半島地震

林敏行
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 能登半島地震の被災直後からスマホにつづった日記を、石川県珠洲市の女性が自主制作の冊子(ZINE)にまとめ、発売した。地震からの5日間をとじ込んだA5判、35ページの本。タイトルは「地震日記」――。

 鹿野桃香(かのももか)さん(30)は、2017年に埼玉県から同市に移住。7年間、奥能登国際芸術祭の運営に携わってきた。

発生後4時間 スマホに打ち込み気付いた感情

 元日の午後4時10分。一戸建ての自宅を揺れが襲う。地響きの中、倒れた食器棚がガラステーブルに突っ込み、天井の照明が落下。自宅は一瞬で様変わりした。

 「揺れがおさまったときには心が透明で、何も感じないような心になっていた。ここに自分が生きているという感覚はなく、ちいさく震えていた」

 自宅から避難し、近くの高台にとめた車内で夜を迎えた。同じ移住者で市内の銭湯で働くパートナーは隣で寝ている。

 午後8時すぎ。スマホに「地震日記」のメモを作り、被災後の出来事を淡々と打ち込み始めた。書くことで、今の自分の感情がわかり始めた。

 「二人でいるってことでこん…

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この記事を書いた人
林敏行
映像報道部
専門・関心分野
写真・動画取材、地域振興や台湾に関心
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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2024年6月28日14時2分 投稿
    【視点】

    日記は、自分のために書く。自分自身との信頼関係を築くために感じたことを書く。その自分のために書いた日記の言葉が誰かの心にすーっと入っていくということもあるのだと。書いたこと、感じたことをそのまま出すことで誰かの寄り添えることもあるというこの

    …続きを読む