処理水放出「問題ない」断言も 島嶼国の態度軟化、対中のくさびに
岸田文雄首相は太平洋・島サミット2日目の17日、島嶼(とうしょ)国の首脳らと個別会談し、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に理解を求めた。外務省によると、中国寄りのソロモン諸島を含め、2日間で会談した11人の首脳全員が安全性向上を図る日本の立場を評価したという。島嶼国側の態度の軟化が示され、処理水を「核汚染水」と断じてきた中国との間にくさびを打ち込んだ格好だ。
「処理水放出を私が支持すると発表した時、性急すぎるという島嶼国の首脳もいた。しかし、科学者が問題はないと言っているのであれば、問題ないと感じた。そして国民も理解するようになった」。フィジーのランブカ首相は17日、報道陣に公開された岸田首相との会談の冒頭で強調した。外務省によると、岸田首相は2日間にわたり11人の首脳に「安心を高めていく」とそれぞれ言及し、首脳らからは歓迎や信頼の意が示されたという。
処理水放出をめぐっては元々、海洋国家である島嶼国側の懸念は強かった。日本が2021年に放出計画を決定すると、18の国・地域でつくる「太平洋諸島フォーラム」(PIF)は各国が納得するまで放出しないよう緊急要望を出した。外務省幹部によると、島嶼国側から「人の命に関わるからやめろ」との声が出たという。ビキニ事件など域内で米英仏が核実験を繰り返した経緯を踏まえ、島嶼国側に「歴史的に原子力への忌避感」(幹部)があった。
日本政府は説得を続けた。岸…
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