「マジでやばいのでは」はじまりは頭痛、28歳薬剤師を襲った脳腫瘍

有料記事患者を生きるがんとともに

土肥修一
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 夢だった薬剤師国家試験に合格し、地元の熊本県八代市の薬局で働き始めて2カ月ほどたった2020年6月ごろのことだった。

 畑中聡一郎さん(28)は、十分な睡眠を取っても疲れや倦怠(けんたい)感がとれない日々が続いていた。しばらくすると、朝に頭痛や吐き気に襲われるようになった。

 この春から一緒に暮らし始めた彼女(28)も「大丈夫?」と心配してくれたが、それほど深刻には考えていなかった。

 「新社会人だから疲れてるんやろう」

 そう考え、痛み止めの薬をのんだり、エナジードリンクをのんだりしながら、仕事を続けた。

 しかし、日に日に頭痛はひどくなった。さらに疲れやストレスを感じるとき、右の方向を見ると、物が二重に見えることがあった。

 「ちょっと休みをもらわないと厳しいかもしれない」

 20年7月、職場の健康診断で、医師に頭痛や目の症状などを訴えた。

 医師は「それはめまいじゃないかもしれない。眼科の紹介状を書くから」。その足で眼科のクリニックに向かった。

 眼底検査の結果、クリニックの医師からこう告げられた。「脳腫瘍(しゅよう)の疑いが極めて高いです。総合病院への紹介状を書くのですぐに検査してもらってください」

 「え? 脳腫瘍ですか?」

 検査で、目の奥にある「視神経乳頭」という部分の出血が確認された。腫瘍ができたことで脳内の圧力が高まり、症状が出ている可能性があるという。

 「これはマジでやばいのでは…

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