第4回原爆の影響「否定する必要ない」 被爆体験者に寄り添い続ける医師

有料記事置き去りの被爆者

小川崇
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 長崎市東部にある内科医院。医師の本田孝也さん(68)が、男性の血圧を測りながら話しかける。

 「体の調子はようございますね」

 「はい。いまは、運動はできますよ」

 この男性は「被爆体験者」だ。79年前の8月9日、被爆者と同じように原爆に遭ったが、国が線引きした「被爆地域」の外だったため、被爆者として認められなかった。

 男性は当時、燃えかすや雨が降ってきたのを覚えている。きょうだいを早く亡くし、自身も若い頃から脱毛や下痢など体調が崩れる時があった。

 本田さんは、こうした被爆体験者を患者として普段から診ている。症状は様々で、高血圧糖尿病、甲状腺の機能低下など。

 被爆者として認められれば、被爆者健康手帳をもらえ、医療費(自己負担分)は原則無料だ。さらに特定の病気になると、月3万円余りの健康管理手当などが支給される。

 しかし、国は2002年から、「被爆体験者」という名称で、被爆者と区別するように手帳の代わりに「被爆体験者精神医療受給者証」を与えた。

 その受給者証には22年度まで、こう記してあった。

 「あなたが原爆投下時にいた場所は、原爆の放射線による直接的な身体への健康被害はないことが確認されています」

被爆体験者への救済 「相当無理のある、ひどい制度」

 原爆による健康被害が無いこ…

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この記事を書いた人
小川崇
長崎総局
専門・関心分野
戦争・平和
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