文田健一郎、遠回りしてたどり着いた金 「面白いグレコ」追求し続け

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藤田絢子
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 東京五輪からここまでを、レスリング男子グレコローマンスタイル60キロ級代表の文田健一郎(28)=ミキハウス=は「あと一歩を追い求める3年だった」と言う。

 2017、19年世界選手権で優勝し、金メダルの大本命と目されて迎えた東京五輪。柔らかい背中を生かして繰り出す反り投げを、徹底して封じられた。決勝までの4試合で一度も仕掛けることができず、銀メダルに終わった。

 上半身しか攻撃できないグレコローマンでは膠着(こうちゃく)状態が続くことがある。世界の潮流も、投げ技より手堅く守り勝つスタイルが好まれるようになっていた。

 「見ていて面白いグレコローマンをしたくて投げにこだわってきたけど、2番に終わった。これじゃだめなんだ」。五輪で金メダルを取るために、あえて投げない戦い方を選んだ。

 パリ五輪の出場権がかかった23年世界選手権。準決勝までの5試合で一度も投げることなく決勝に進んだ。この時点で日本協会の規定をクリアしてパリの切符をつかんだのに、表情は浮かない。「見ていても面白くないでしょう。僕も面白くない」

 決勝が転機になった。

 開始早々、キルギスの選手に…

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この記事を書いた人
藤田絢子
スポーツ部
専門・関心分野
レスリング、スポーツと社会