第3回年金「積立ゼロ」という韓国の未来予想 高齢者と若者の溝なくすには
【連載】老いる韓国 「超高齢化」のリアル 第3回
韓国の高齢化の問題を取材するにあたって、私には今回、会いたい人がいた。成川彩さん。韓国映画やドラマに詳しい、韓国在住の文化系ライターだ。
映画やドラマの中で描かれるテーマやストーリーは、社会の姿やその変化を物語る。最近のありようにも、韓国社会の急速な高齢化が映し出されているのではないか、と思ったからだ。
成川さんは、こんな話をしてくれた。
ここ5年ぐらいの間に、韓国の映画やドラマでも高齢者が主人公や重要な登場人物として描かれることが増えている。認知症などのテーマも正面から取り上げられるようになった。作り手の側も、そうした作品が関心を持たれ、需要があると見込んでいるからこそ、高齢者や高齢化にまつわる課題を描く作品に力を入れるのではないか。
高齢化への対策として75歳以上の人々が自ら死を選べる制度を設ける国家を描き、話題を呼んだ映画「PLAN75」(早川千絵監督)も、今年に入って韓国でも公開された。成川さんは言う。「若い観客が多かったと報じられていて、ちょっと意外でした。近い将来、自分たちがこうなるのではないかという危機感が、若い世代に広がっているのかもしれないですね」
【連載】老いる韓国 「超高齢化」のリアル
日本を上回るペースで進む韓国の「超高齢化」について報告します。超少子化、移民に続き、韓国の人口問題を考えるシリーズの第3弾となります。全9回。うち第5回までは韓国の現場の動きを紹介。第6回は日韓連携の可能性を探ります。第7回以降はインタビュー編となります。
実際のところ、韓国の若い世代は社会が急速に高齢化していく現状をどう受け止めているのだろうか。
8月末、私は地下鉄に乗って…