五山送り火に 快癒を願う 前田憲司さん

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■カフェ日和 前田憲司さん(芸能史研究家)

 20年ぶりに入院し手術を受けた。2月末ごろからおなかが重いような感覚が続き、市販の胃腸薬では改善せず、近所の内科医で診察を受け、薬をいただいた。

 1週間経っても改善の兆しがなかったので、胃腸科専門医院で内視鏡検診を受けると、胃潰瘍(かいよう)がいくつもあることがわかった。投薬治療とともに、指導された食事制限で、症状は間もなく治まったが、経過観察もあり、3カ月ほど服薬と制限食が続いた。そして再度の胃カメラ

 これで無罪放免と思ったがぬか喜び。1カ所だけ潰瘍が残り、がんの疑いがあるとのこと。総合病院で再検査し、手術を受けることに決まったのは7月半ばだった。すぐにでも手術を受けたいところだが、前回この欄に記したように、8月初旬には四日市での催しが控えていて、そこだけは関係各位にご迷惑をお掛けすることもあり……というのは建前。私自身のわがままで、8月中ごろに入院。手術を受けることになった。

 冒頭に記した20年前の手術は、虫垂炎が診断で判明せずに腹膜炎をおこし、4カ月もの入院生活を余儀なくされ、今も20センチ近くの手術痕が残っている。

 今回は最新技術を用いた腹腔(ふくくう)鏡下手術のようで、施術過程などを、研究資料として活用したいとのこと。世間さまのお役に立てるならばと快諾して手術を迎えたが、麻酔が効いたままで手術痕もなく、自覚症状もないままに無事に終了。8日目に退院できた。56日分の薬付きで。

 退院の日は京都五山送り火の日。例年、大文字山近くの知人宅から祈るのが恒例だった。護摩木に名前と病名を書き焚(た)き上げると癒(い)えるという信仰がある。最先端技術と古くからの信仰。来年は快癒の護摩木を奉納したいなぁ。薬もなしで。

《通信欄》

 「熊野古道」の世界遺産登録20周年記念として、11月23日に那智山青岸渡寺で開かれる落語会「熊野三部作披露」に解説として出演します。

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