高速実験炉「常陽」でがん治療の放射性元素 規制委「新基準に適合」

矢田文
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 日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」(茨城県)に、がん治療薬として期待される放射性元素を生産するための実験装置を追加することについて、原子力規制委員会は4日、「新規制基準に適合する」とする審査書案を取りまとめた。文部科学相などの意見を聞いたうえで、正式に許可する。

 原子力機構が生産を目指す放射性元素「アクチニウム225」は、がん細胞を攻撃する効果が高いとして、がん治療への活用が期待されている。各国で治験が進められているが、世界的に供給量が十分でなく、日本はほぼ輸入に依存している。2026年度内にも製造実証を始める計画を示すが、設備の詳細設計を記した工事計画などの審査が残っている。

 常陽は、プルトニウムを燃料に使う高速炉を開発するための実験炉で、1977年に運転を開始した。その後、機器トラブルなどで2007年からは運転を停止。原子力機構は26年度半ばの運転再開を目指しており、今年2月に医療用の元素を生産するための実験装置を審査に追加する申請していた。

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この記事を書いた人
矢田文
科学みらい部|原子力・災害担当
専門・関心分野
いきもの、環境問題、沖縄、依存症