障害ある子と避難訓練、見えた段差や狭い道 災害時、命守る地域の輪
医療的ケアが必要な小学5年生とその家族が、三重県四日市市の常磐地区で10月中旬に実施された防災避難訓練に初参加した。これまでは周りの視線を気にして参加してこなかったが、能登半島地震などを受けて、支援が必要な子どもが地域に住んでいることを他の住民にも知ってもらうことが必要だと考えた。
訓練に参加したのは、県立特別支援学校北勢きらら学園(四日市市)に通う陸翔君(10)と母親(35)、弟の3人。陸翔君は重症心身障害があり、たんの吸引や胃ろうを使った食事などの医療的ケアを受けて生活している。
指定避難所の市立常磐小学校までは自宅から徒歩約10分。同行した支援者らが陸翔君のバギーを押して歩くと、地図ではわからない段差などが見つかった。道幅が車1台分ほどの場所があり、母親は「災害時に車が渋滞すれば、バギーでは通れないかもしれない」という。災害時は回り道も考えることにした。
避難所の体育館では、常磐地区防災協議会の木寺秀臣会長(78)らが陸翔君を迎えた。自身も障害者手帳を持つ木寺会長は「災害初期に公助は見込めない。互いに助け合うことが大切で、避難所には障害がある人もいることを知ってもらうことが重要だ」と話した。
県が策定した高齢者や障害者ら「災害時要援護者」の避難対策マニュアル作成指針では「発災直後は市町や警察、消防が稼働できるようになるまで、地域住民の活動が中心になる」としたうえで、住民による要援護者の救出や誘導が重要としている。
両親や支援者が被災した場合に備えて
陸翔君の避難先は小学校だけ…