日本伝統工芸展の松江展が開幕 山陰作家の16点含む270点を展示

石川和彦
[PR]

 「第71回日本伝統工芸展」の松江展(島根県、日本工芸会、島根県立美術館、朝日新聞社など主催)が11日、松江市袖師町の県立美術館で開幕した。陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門での入賞作16点、重要無形文化財保持者(人間国宝)の作品41点、山陰在住作家の入選作16点を含む約270点が展示されている。25日までで、会期中無休。

 開会式で島根県立美術館の藤間寛館長が「会場がちょっと華やかになり、本来の手仕事の技が発揮されているように感じます。色彩も華やかで、絵画的な装飾や意匠が目につきます。そういった点を見ていただきたい」とあいさつ。その後、「白磁」の人間国宝、前田昭博さん(鳥取市)ら山陰の入選作家16人が紹介された。

 濱田幸介さん(39)=松江市=は、木をろくろで回転させ、刃物を当てて削る挽物轆轤(ひきものろくろ)の世界に入って20年。今回が14回目の入選となる。入選作「欅造拭漆鉢(けやきづくりふきうるしはち)」は、「木目を邪魔しないシンプルな形にしよう」と制作に取り組んだ。「自分なりに木の良さを出していると思う。その点を見て感じてもらえれば」と願う。

 鳥取市に窯を構える花井健太さん(39)は独自の釉薬(ゆうやく)を研究し、それに合うようなデザインを考えてきた。入選作「苔玄釉線紋鉢(たいげんゆうせんもんばち)」は花が開くようなデザインで、釉薬を二重にかけた。「窯を開けた時、きれいなのができたかなと感じた」。今回が4度目の入選で日本工芸会の正会員に。「(技術や形で)新たなチャレンジをしていきたい」と話した。

 ギャラリートークは14日から4回の予定。14日=福井禎さん(染織、鳥取県倉吉市、今回の工芸展で入選)▽15日=宮本貞治さん(木竹工、人間国宝)▽21日=吉田幸央さん(陶芸)▽22日=気賀沢雅人さん(諸工芸)。午後2時から。15日は午後1時半から宮本さんの記念講演会「木工芸―素材の魅力と表現の美―」(当日先着順。聴講無料)もあり、ギャラリートークは講演会終了後になる。

 料金は一般800円(美術館のホームページからとローソンチケット利用だと700円)、大学生600円、高校生以下無料。問い合わせは同館(0852・55・4700)へ。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
石川和彦
松江総局長
専門・関心分野
社会、スポーツ、芸能