「相続登記が義務化されて…」不審電話が増加 土地処分の勧誘に注意
相続時に登記の名義変更がされなかったことなどを要因とする「所有者不明土地」の発生を防ぐため、2024年4月から相続登記が義務化された。これを悪用し、不要な土地を処分するとして契約を持ちかけるなど不審な勧誘が増えているといい、国民生活センターが注意を呼びかけている。
国民生活センターによると、2023年ごろから、相続登記の義務化にかこつけた勧誘に関する相談が、各地の消費生活センターなどに寄せられるようになっている。特に、以前、不要な土地を購入させられる「原野商法」の被害に遭った人からの相談が目立つ。
南関東で相談があった事例では、数十年前、遠方に別荘用として土地を購入していた人に、最近、不動産業者から「売却する手続きをしているので資料を送ります」などと電話があった。自宅への訪問を受け入れると、「相続登記が義務化された。土地を測量して看板を設置するなどして売却できるまでサポートする」と言われ、契約。約35万円の支払いを求められた。「相続する子どもに迷惑をかけたくないと思い、契約してしまった」と話し、解約できないかとの相談だったという。
訪問販売や電話勧誘販売にあたる場合、契約書を受け取った日から8日以内なら、クーリング・オフで契約を解除できる。
九州北部で寄せられた相談では、約10年前に原野を購入していた人に、「登記が義務化されたので、体裁がいいように伐採や整地をし、サイトに掲載します」などと電話があった。できれば処分したいと思っているが信用して大丈夫か、という相談だったという。
原野商法は、値上がりの見込みがほぼない山林や原野を、「開発計画がある」「駅ができる」とうそを言うなどして価値が上がると期待させ、売りつけるもの。1970~80年代に多発した。2010年代には、購入した土地の処分に困っている人たちに「土地を買い取る」などと持ちかけ、金銭を求めたり、土地の処分に関する契約を装って別の土地の売買契約を結ばせたりするなど、二次被害が続出した。
特定商取引法を適用した対策が進んだこともあり、近年は被害の訴えは減っているが、日本司法書士会連合会で不動産登記法改正等対策部長をつとめる里村美喜夫・副会長は、「土地を買い取る、または土地を売却するには測量が必要であるといった勧誘で、さらなる支出を要求されるなど、相続登記の義務化に乗じて二次被害が広がることを懸念している」と話す。
国民生活センターは、土地の売却のためとして金銭を求められたら契約する前に家族や周りの人に相談することや、土地の相続や処分については、さまざまな情報を集めて家族などとよく話し合うことが重要だとしている。困ったときには消費者ホットライン(電話番号188)で相談できる。
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- 【視点】
我が家にも、祖父が「原野商法」で買わされたと思われる小さな山がひとつありまして、今は父の名義になってますが、ほぼ人力でたどり着けない場所にあるため有効活用もクソもない、あの山、オヤジどうするんだと思っていたところ、結局なにもできず父も75歳
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