プラモのお礼、おばあさんの1万円札 お礼へのお礼でお互いが笑顔に

有料記事いつも、どこかで

若松真平
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 軍事フォトジャーナリストの菊池雅之さん(46)が、中学時代に通っていた店がある。

 自宅から自転車で15分ぐらいの距離で、住宅街の一角にあったおもちゃ屋だ。

 ガンダムのプラモデルや鉄道模型、エアガンなどを売っていた。

 小学生時代の駄菓子屋からステップアップした先で、何を買うでもなく眺めているだけで楽しい場所だった。

 店主がいるカウンター横にはテーブルと椅子があって、そこは常連が座る席。

 大学生のお兄さんたちが、いつも店主と楽しそうにやりとりしていた。

 お兄さんたちとは趣味を通してつながっている関係だった。

 年齢による上下関係はなく、作り方などのアドバイスをしてくれたり、工具を譲ってくれたり。

 大人と接する機会が少ない年頃だったが、その雰囲気が心地よかった。

おばあさんが訪ねてきて

 店頭のショーウィンドーには、常連たちが制作したプラモの完成品が展示されていた。

 ある日、おばあさんが店を訪ねてきて、店主に話しかけた。

 「あそこに飾ってあるプラモ…

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若松真平
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