能動的サイバー防御、自民党内議論開始、米側の強い要請も

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鬼原民幸 千葉卓朗 笹山大志
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 サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス=ACD)」の導入に向け、自民党は17日、党内議論を始動させた。ACD導入はこれまで「通信の秘密」を定める憲法との整合性をめぐって作業が難航。しかし、日本のサイバー防衛能力の脆弱(ぜいじゃく)性に懸念を抱く米国側の強い要請もあり、政府は月内にも有識者会議を立ち上げ、早ければ今秋の臨時国会で関連法改正を目指す方針だ。

 自民は同日、「経済安全保障推進本部・デジタル社会推進本部・安全保障調査会合同会議」を党本部で開いた。政府側が諸外国のACD導入事例を提示し必要性を説明。会議後、小野寺五典安保調査会長は記者団に「(法整備で)日本も国際標準となり、各国との連携で安全な環境を作ることができる」と語った。

 政府は2022年末改定の「国家安全保障戦略(NSS)」に「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる」と明記。政府はNSSをもとに中国やロシア、北朝鮮からのサイバー攻撃を念頭に、①サイバー攻撃を受けた場合の民間事業者との情報共有・支援の強化②国内通信事業者の情報を活用し、悪用が疑われるサーバーを検知③攻撃者のサーバーへの侵入・無害化ができるよう政府に必要な権限を付与――などの実現を検討し、昨夏にも有識者会議を立ち上げ、今年の通常国会での法整備を目指すスケジュールを描いていた。だが、憲法との整合性をめぐって調整や作業が難航。通常国会での法案提出を見送った。

 最大の問題は、憲法21条が…

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この記事を書いた人
鬼原民幸
大阪社会部|社会サブキャップ
専門・関心分野
国内政治、外交安全保障、社会保障政策