地域手当「大くくり化」、自治体に衝撃 広がる格差、人材流出懸念

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松浦新
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 国家公務員の「地域手当」で対象地域などを変える人事院勧告が8月に出て、地方自治体に衝撃が広がっています。年収で最大20%の差がつくこの制度は、国家公務員だけでなく、自治体職員の給料や保育園収入などの算定にも使われてきたためです。人材確保への影響も大きいと、自治体は情報収集を急いでいます。

 国家公務員の地域手当は、基本給(俸給)に扶養手当や残業代などを加え、勤務地ごとに決められた支給割合をかけて出す。支給割合は地域によって20%から0%と差が付く制度で、今回は10年ぶりの見直しだった。

 この地域手当をめぐる動きが、地方自治体にも広く影響するのは、総務省が制度を準用し、地方公務員にも適用されてきたためだ。自治体が独自に上乗せすると財政に余裕があるとみなされ、国からの地方交付税交付金が減額されてきたため、従う市町村は多い。

 人事院は今年8月、支給割合について、従来は市ごとに設定していたが、都道府県単位に「大くくり化」する勧告を出した。ただ、人口20万人以上の市は別に計算する対応が取られる。東京23区は従来通り最高の20%を維持する。

 例えば、国の税務大学校や司法研修所がある埼玉県和光市は現在、東京23区に次いで高い16%の支給割合だが、埼玉県の4%に下がることになった。ただ、激変緩和措置があるため、和光市は当面12%に。毎年1ポイントずつ下がる仕組みで、最初の適用は15%だ。

 これまで、支給割合は人口5万人以上の市の民間賃金をもとに人事院が「賃金指数」を算出して決めてきた。前回2014年の見直しで、和光市の賃金指数は「124・8」と東京23区の「123・7」を上回り、全国で最も高かったが、人事院が東京23区だけを20%としたために16%になった。今回はさらに、個別の対応を取る対象の自治体が20万人以上となったことで、埼玉県に吸収される形になった。

公務員給与以外にも影響する仕組みとは

 この人事院勧告は国家公務員…

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この記事を書いた人
松浦新
経済部
専門・関心分野
不動産、IT、社会保障