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2023/11/18

北アルプス表銀座縦走4日目&5日目の登山動画を公開

2023年8月28日(月)から4泊5日で登った北アルプス表銀座縦走4日目&5日目の登山動画を公開しました。今回で表銀座縦走の動画も最後です。結構時間がかかって大変でしたが、年を越さずになんとかすべてアップロードできたので肩の荷が下りました。


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2023/11/01

北アルプス表銀座縦走1日目の登山動画を公開

2023年8月28日(月)から4泊5日で登った北アルプス表銀座縦走1日目の登山動画を公開しました。
初日は上高地からババ平までの移動だけなので、縦走前のアプローチ編といったな内容です。槍沢ロッジまでは写真での行程紹介となっています。動画はほぼババ平についてから撮ったものなので、テント生活や装備の紹介みたいになっていますので、興味があればご覧ください。


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2023/09/21

総距離37㎞のロングトレイル: 槍ヶ岳から燕岳へ その7

2023年8月31日(木) 長野県安曇野市 燕岳(標高2763m) テント泊単独行 



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9:48 大下りへの取りつき部で15分の休憩をとってから、いよいよ大下りの登り返しに取り掛かりました。休憩場所のすぐ上で、まずは狭く岩の多い急登を突破します。


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その後、視界は開けたものの相変わらずの急登が続きます。この区間は、稜線を登るわけではなく、稜線の西側の斜面を登って行くので、急斜面を斜め上に登って行くような妙な感じのする道でした。


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10:06 道標の立つ大下りの頭に着きました。結構きつい登り返しでしたが、標高差はわずか70m程度なので時間にして約15分で登りきることができました。昨日の水俣乗越からヒュッテ西岳への標高差200mの登り返しに比べれば楽なものですが、縦走4日目ということで、疲労もたまっているタイミングでの登り返しはやはり体力的につらいものがあります。しかし、これでもう大きな登り返しは無く、あとは小さなアップダウンを地道にこなしていけば、燕山荘に到着です。


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大下りの頭から先は、再びなだらかな稜線の道を辿ります。山荘が大きく見えていて、足取りも心なしか軽くなったような感じで歩くことができました。


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次第に大きな岩が突き出たピークが迫ってきました。地図で見るとこの巨岩のピークが蛙岩と記載されているので、てっきり見えている岩が蛙岩だと思っていました。


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巨岩のピークを回り込むと、その先にも巨岩が並んでいました。いったいどれが蛙岩なのかさっぱりわかりません。


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巨岩の間を進んで行くと、今度は狭い廊下のような巨岩の割れ目が現れました。もしかしてこれが蛙の口みたいなので蛙岩なのか?などと思いつつ、割れ目の中を進みました。


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結局どれが蛙岩だったのかわからないまま、巨岩の林立するピークを通過し、いよいよ燕山荘への最後の登り返しが迫ってきました。


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北燕岳と燕岳もはっきりと目視できるぐらいの近くに見えるようになりました。


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燕山荘への登り返しは、標高差も距離も大したことは無いのですが、それでもここまでの疲労の蓄積もありかなりつらいものとなりました。早く着いて荷物を下ろして解放されたいという思いで、気持ちがせいていたこともあるのでしょう。



ここで一息。ぽちっと押したら、引き続きブログ「ヤマふぉと」をお楽しみ下さい。




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11:24 燕山荘に到着です。長い表銀座縦走のゴールです。厳密にはまだ中房温泉までの下りが残っていますが、気持ちとしては縦走完遂です。ただ、このゴールはやたら人が多くて騒がしく、観光地に迷い込んだみたいで落ち着かない場所であったのが残念なところです。


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小屋でテント泊の受付を済ませて、さっそくテント場に向かいました。まだお昼前だというのに、けっこうテントが張られていて、急がないとどんどんいい場所がなくなりそうです。燕岳のテント場は、写真に写っている側と、その奥にある反対向きの斜面にテント場がありますが、見たところあまり水平でない場所が多く、反対側の下にあるトイレ前が比較的水平であったようですが、すでにテントがいくつも張られていて、空いている場所は周囲をテントに囲まれたような場所だったので、一番水平に近いと思われる一番上の隅にテントを張りました。この写真の一番上にある青いテントが僕のテントです。


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テント設営後に、燕山荘でカップヌードルを買ってランチとしました。お湯なしで500円と、槍ヶ岳山荘よりも50円割高でした。


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テントからは背後に燕岳も見えていて、燕岳を眺めながらおいしく食べることができました。


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15:18 ランチの後、2時間ほどテントで体を休めてから、燕岳に向かいました。


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すぐに裸地を横切る道になりましたが、この左右の斜面にたくさんのコマクサが生えていました。


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時期的にもう花の季節は終わりかけなので、枯れかけたものが多かったのですが、中にはまだ枯れる直前の状態の花もありました。


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登山道のすぐ近くにきれいに花をつけている株もちらほらあったのですが、写真のようにロープを無視して花のすぐそばまで踏み込んで写真を撮ったのであろうと思われる足跡がたくさんついていて、せっかく花をつけているコマクサの足元の砂が崩れかけている状態になっているものもありました。ここまで寄って写真を撮る必要がなぜあるのか理解に苦しみます。ズームという機能を知らないのでしょうか。外国人もたくさんいたので高山植物の保護に無頓着な登山者もいたのでしょうが、京都や富士山でのオーバーツーリズムが問題になっていることもあり、北アルプスでも同じ問題が起こっているといえそうです。


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燕岳山頂が近づいてきました。


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山頂近くで有名なメガネ岩を見ることができました。どういう理屈でこのような形になったのかわかりませんが、なかなかユニークな造形です。この時、一番有名はイルカ岩をまだ見ていないことに気が付いたのですが、実はすでに通り過ぎていました。コマクサの生えている斜面のあたりにあったのですが、コマクサに気をとられて気が付かずに通り過ぎてしまっていました。


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15:47 燕岳に登頂です。幸運にも誰もいませんでした。今回の山行で最後のピークです。これでもう、やるべきことはすべてやり終えて下山するだけとなりました。


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燕岳登頂で気が緩んだのか、山名板が上下逆のまま記念撮影してしまいました。しばらく展望を楽しんだり、動画を撮ったりしていましたが、登山者がやってきたので退散しました。


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山頂付近にも、風化して変わった形になった花こう岩がたくさん露出していました。


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山頂下の巨岩の上に立つと、歩いてきた表銀座縦走路が一望できました。最奥に前穂高岳と奥穂高岳の吊り尾根がくっきりと見えています。上高地はあの反対側にあるので、吊り尾根の向こう側からここまで歩いてきたわけです。右端の槍ヶ岳に登り、そこから中央に見えている大天井岳を経由してここまでよく歩いてきたものです。


今回の縦走はほぼ思いつきのようなもので、天気予報をみていてたまたま北アルプスの天気が良さそうだったので、かねてから気になっていた表銀座ルートをあるくことにしたわけですが、7月27日に日帰りで伯耆大山に登った後は1か月山に行っていないので、体力的にかなり不安がありました。なので、付け焼刃的に3日前から夜にジョギングやウォーキングをしただけでしたが、これだけでもやらないよりもやって良かったのかもしれません。インターバルが長い状態で山に行くと、たいてい下りで左膝が痛くなるものですが、今回は槍ヶ岳からの下りで痛くなることが無かったので、付け焼刃のジョギングでも少しは役に立ったようです。もっとも、その前に2日間登りで歩いているので、むしろそれがトレーニングになったというほうが正しいのかもしれません。


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帰路でイルカ岩を探しながら歩いたおかげで、しっかりとイルカ岩を見ることができました。


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16時過ぎに燕山荘に戻り、ささやかな縦走完遂のお祝いにビールとポテチを購入しました。各500円で1000円というプレミアム価格でしたが、これは仕方がありません。いつもは山でアルコールは飲まないことにしているのですが、今回は特別です。


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優美な燕岳を見ながら飲むビールの味は、なかなか美味でした。ポテチもうまかったです。


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ビールでほんのり酔いましたが、17時をまわったところでテントに戻り、夕食の準備です。持ってきた食料も、これでほぼ使い切るわけです。メニューは変わらずワンパターンです。


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持ってきていたものの今日まで使わなかったすりごまを、最後の夕食ということでふりかけがわりにご飯にかけて食べました。


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夜になるとやっぱり風が出てテントを揺らし始めました。今回は今までの反省を踏まえて、床に敷いていたグランドシートをエマージェンシーシートの代わりに寝袋の上に掛けて、エマージェンシーシートをグランドシートがわりに下に敷いて寝ました。このグランドシートは片面にアルミ蒸着処理がされているので、実質的にエマージェンシーシートと同じくらい暖かく寝ることができました。それに、ガサガサとうるさい音が出ないのがいいところです。

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2023年9月1日(金)

最終日の朝も、やっぱり午前4時に目覚めました。白湯を飲んでしばらくはゆっくりと体と気持ちが目覚めるのを待っていましたが、テントの外が明るくなってきたので外を見てみると、東の空に美しい朝焼けが広がり始めていました。


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5:02 カメラを持って燕山荘前のテラスに行き、今回初めて三脚を据えて一眼レフで撮影しました。いままでずっとただの重くて邪魔な荷物でしかなかったのですが、最後の最後にやっと役に立ちます。わざわざ担いできた甲斐があったというものです。東方に見えるひときわ高い山は、方角的に浅間山ではないかと思いますが、はっきりとはわかりません。


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徐々に地平線に光が満ち溢れてきました。


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雲が赤く染まります。


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北の空に広がる雲が深紅の絨毯のようです。後立山連峰や立山周辺でこの風景を見ている人たちの上に美しい朝焼けが広がっているのかもしれません。


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5:23 太陽が顔を出しました。最終日にやっと御来光を見ることができました。おそらく、槍ヶ岳でも見ることができたのでしょうが、パッキングのために見ることができなかったので、最後の最後にゆっくりと見ることができたのは幸運でした。昨日の天使の梯子のおかげかもしれません。


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穂高連峰も赤く染まります。これも見たかった風景のひとつです。その意味では、この縦走ではやりたかったこと、見たかったことがほとんどできました。やり残したのは、天狗池に映る逆さ槍を見ることと、南岳から槍ヶ岳までの3000mの稜線歩きの2つです。これはまた次の機会に達成したいところです。


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燕岳も赤く染まってはいたものの、白い斜面は西側に多いので、朝は思っていたほど赤く染まったという印象はありませんでした。燕岳は夕日に染まる姿のほうが見ごたえがありそうです。雪をかぶった姿であれば朝焼けでもいけるでしょうから、冬季に再訪したいところです。


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朝焼けが色褪せたところで切り上げて、テントに戻って朝食です。今朝は最後に残ったしゃぶもちを、高野豆腐のだし汁でお雑煮がわりに食べます。7枚ぐらい残っていたので、それなりにおなかも膨れて満足でした。


2枚ほどはIMG_1632_2023092116232472e.jpg
すりごまをまぶしてゴマ団子のようにして食べましたが、わりと美味しかったです。結局消化しきれずに残ったのは、高野豆腐のだし汁粉末2袋だけでした。


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7:07 テントの撤収が完了しました。忘れ物落とし物がないことを確認して、下山口に移動します。


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燕岳に別れを告げて、下山開始です。


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北アルプス三大急登に数えられる長く険しい合戦尾根ですが、下りであればそれほどきつくはないでしょう。


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7:52 登山者が多く、すれ違い待ちで時間を使う可能性が高いので、人がいないときは速度を上げてどんどん下ったおかげで、下り始めて30分で合戦小屋に着きました。当初はのんびり休憩するつもりでしたが、人も多いし、思いのほか早く着いたので、3分ほどドリンク休憩しただけで、すぐに出発しました。なので、名物のスイカは食べていません。


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その後も調子に乗ってどんどん下っていたのですが、さすがに疲れが出てきたのかつい気が緩んでしまったらしく、木の根が出た大きな段差を降りるときに、角の様に突き出した15cmほどの木の根に左足のパンツの裾をひっかけてしまい、バランスを崩して転倒してしまいました。一瞬右足で踏ん張ったものの、20kgちかい重さの荷物が下へ落ちようとする力に抗うことができず、そのまま前のめりに転倒。左足だけ木の根に引っかかってぶら下がったような状態になり、脚が外れずにもがいていたら、直前で道を譲ってもらった人が助けてくれて事なきを得ました。しかし、木の根に引っかかったパンツには、穴が開いてしまいました。


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幸いどこにもけがはなく、無事に下山を続けることができましたが、下ろしたばかりのグローブが裂けてしまいました。もしも素手だったらかなりの出血を伴う裂傷を負っていたかもしれません。それに、ケガではないものの、腰の左側面の筋と左手首のあたりを痛めたらしく、下山後もしばらく痛みが残りました。左手首に関しては、帰宅後に山行記録を書くのにキーボードを多用していたためかかえって痛みが増してしまい、下山後2週間以上経つというのにいまだに痛みがとれません。それでも、骨折や裂傷などの大きなけがで救助要請するようなことにならなかっただけましというものです。これも、天使の梯子のおかげということにしておきます。


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9:08 第二ベンチに着きました。休憩をとりたかったのですが、人が多かったので通過です。


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9:27 第一ベンチです。第一ベンチに着く少し前から左足のかかとが岩や木の根に引っかかって転びそうになることが何度かあり、相当疲れているのだろうと思い、ここで休憩をとりました。しかし、その後も同様のことが何度かあり、もう足が上がらなくなってきているのだとばかり思っていました。


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ここには水場があるようですが、どれぐらい離れているのかわかりません。下の谷の方へ下るようなので、行くのはちょっとためらわれます。幸い、水は足りていたので利用する必要はありませんでした。


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9:59 長い下りもようやく終わりました。中房温泉に到着です。10時30分ぐらいの予定でしたが、30分早く着きました。10時45分発のバスに余裕で間に合ったので助かりました。ヤマケイオンラインのコースタイムだと2時間40分なので、ほぼコースタイム通りでした。とはいえ、けっこう急いだ結果なので、のんびり下っていたら3時間ぐらいかかったことでしょう。


ベンチに荷物を下ろして、休憩をとり、汗で濡れてしまったシャツを新しいTシャツに着替えてから、バス乗り場に向かいました。このとき、左足のかかとがアスファルトに擦れているのがわかり、踵のソールの剥がれが広がって垂れていることに気が付きました。下っている時に左足のかかとが木の根や石に引っかかっていたのは、どうやらこれが原因だったようです。てっきり疲れて足が思うほど上がっていないということだと思っていたのですが、そうではなかったというわけです。転倒したときに左足が引っかかったのも、もしかしたらかわしたつもりがヒールの引っ掛かりでかわし切れていなかったという可能性も考えられます。とはいえ、事前の確認が不十分だった結果なので、ソールのせいにするのはお門違いです。道具のメンテンナンスと確認の重要性を再認識しました。もしも、岩場であんなことが起こっていたら、今頃は命を落としていたかもしれません。


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11:50 バスに1時間ほど揺られて安曇野駅に着いてから、重い荷物と体を引きずるようにして駐車場に戻ってきました。車の中にバックパックを下ろした瞬間、終わったという感覚に包まれて、長い山行が終わったことを実感しました。しばらくは、汗にぬれたシャツなどを干して乾かしながらゆっくりと体を休めました。


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その後、車で10分ほどのところにあるしゃくなげの湯という日帰り温泉に行って、長旅の汗と疲れを落としました。この温泉は初めて訪れましたが、広くてきれいだし、きもちのいいジェットバスやマイクロバブルのお風呂などがあり、けっこう快適でした。お風呂から上がって、まだ30度を超える猛暑の中、のんびりと家路についたのでした。

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2023/09/18

総距離37㎞のロングトレイル: 槍ヶ岳から燕岳へ その6 

2023年8月31日(木) 長野県松本市 大天井岳(標高2922m) テント泊単独行 



山行4日目の朝も午前4時に起床しました。山行中はちゃんと午前4時に起きることができているので、寝過ごしてスケジュールが遅れるということなく行動することができています。昨晩も寒さで熟睡できませんでしたが、それでも19時過ぎからずっと寝袋に入って体を休ませることができたので、体調の方は悪くありません。


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一杯の白湯で体を目覚めさせた後、簡単な朝食をとりました。これで持ってきたパンも最後です。ドリンクはいつものカフェラテではなく、ネスカフェゴールドブレンドのブラックコーヒーにしました。


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食事の後、すぐにパッキングに取り掛かっていたのですが、そろそろ日の出の時間が近いなと思ってテントの外を見ると、見事な朝焼けが広がっていました。


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たくさんの登山者が見事な朝焼けに見入っています。


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一眼レフを携えて稜線の端の方へ出てみると、安曇野の上空に赤く焼けた雲が広がり、美しい朝の情景を見ることができました。こんなに印象的な朝焼けの空を見るのも久しぶりです。


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5:24 紅に染まる雲がほんの数分後には色あせて、朝のドラマはあっという間に終わりました。夜半からの強風はまだ収まってはいませんでしたが、とりあえず、朝一番で大天井岳に登りに行くことにしました。小屋の裏手から山頂に向かいます。


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階段を上ると岩だらけのだだっ広い場所が広がっていました。どこがルートなのかわかりにくかったのですが、ペンキマークを探しながら進みます。


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5分ほど登ると、山頂が見えてきました。


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振り返ると、雲間から差し込む朝の光で、天使の梯子がたくさんかかっているのが見えました。天使の梯子は幸運の前兆といわれているので、もしかしたら何かいいことが起こるのかもしれません。



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5:37 大天井岳の山頂に着きました。昨日、縦走途中に常念山脈を眺めていた時には、常念岳がひときわ高く見えていたので、てっきり常念岳よりも低いのだとばかり思っていたのですが、大天井岳の方が65m高いというのがちょっと意外でした。


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背後に見える穂高連峰は、まだ朝日が届いていません。自分のいる大天井岳の方にだけ朝日が届いているというのも、ある意味幸運なのかもしれません。であれば、さっそく天使の梯子のご利益があったといえそうです。


今回の大天井岳登頂によって、穂高連峰の展望台として絶好の位置にある常念山脈の蝶ヶ岳と大天井岳からそれぞれの眺めを見ることができたわけですが、蝶ヶ岳からは涸沢を囲む北穂、奥穂、前穂の存在感が圧倒的で、槍ヶ岳はややこじんまりとした感じでしたが、大天井岳からは槍ヶ岳の存在感がひときわ大きく、穂高の峰々の存在感はやや希薄な感じです。どちらもそれぞれいいのですが、どちらが好きかと聞かれれば、穂高の峰々の圧倒的な存在感が強い蝶ヶ岳からの展望のほうが好みです。しかし、この2座の中間にある常念岳からの展望も大いに気なるところなので、近いうちに常念岳にも登ってみようと思います。


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足元の大天荘やその先に続く常念山脈の縦走路にも朝日が当たっていないので、まさに大天井岳の山頂だけが朝の祝福を受けているような雰囲気です。そして、今日も富士山がくっきりと見えていました。


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北方面は、この後歩く表銀座ルートがこれまた妙にクリアに見えていました。燕山荘も見えているし、北アルプスの女王燕岳が白い優美な姿も麗しく姿を見せていました。さらにその遥か彼方に後立山連峰の盟主となる峰々も見えます。


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望遠で寄ってみると、右端に赤い屋根の燕山荘、、その左の写真中央に燕岳、左奥手前に猫耳の双耳峰が特徴の鹿島槍ヶ岳、その左奥に見えている小さな三角のでっぱりが白馬岳、左端のおにぎり型の山は、おそらく白馬岳の西にある旭岳だと思われます。


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少し左に視線を移動させれば、緑色の水をたたえる高瀬ダム湖の奥に、鋭利な山容の針ノ木岳、左奥にそびえたつのは、立山と剱岳です。


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さらに左側には黒部源流の盟主、水晶岳が別名の黒岳にふさわしい黒っぽい姿で孤高な姿を見せていて、そこから稜線を辿った先にワリモ岳と鷲羽岳も並び立っていました。


6時まで山頂でのんびりと過ごして、テントに戻りました。今日は燕山荘のテント場までの行程なので、所要時間は3時間程度です。急ぐ必要は無いので、たっぷりと山頂からの展望を楽しむことができました。


テントに戻り、テントを撤収したのですが、相変わらず風が強くてその場でテントをきれいにたたむことができなかったので、ざっくりと丸めてトイレ棟のそばの風のさえぎられる場所に持っていってから折りたたみました。その後、適当にパッキングした荷物を持って、燕山荘東側のベンチに移動しました。ここは風下になるため風が当たらず、テーブル付きのベンチでゆっくりとパッキングをやり直すことができました。


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7:22 大天荘から燕山荘に向けて出発します。


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大天井岳の東斜面をトラバースしながら下って行きます。


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ところどころ岩がごろつく歩きにくい場所もありましたが、危険な箇所は無くそこそこ歩きやすい道でした。


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20分ほど下ってきたところで、また雷鳥の母子に遭遇しました。


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昨日同様、かなり成長したひな鳥と母鳥が登山道脇の斜面をのんびりと歩いていました。天気の悪い時に出てくると言われている雷鳥ですが、こんなに見通しのいい日でもわりと平然と歩いているのがちょっと不思議です。


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子供が大きくなっているので、すこし警戒心が緩んでいるのかもしれません。


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雷鳥の母子を見送ってから再び歩きはじめ、大天井岳北側にある鞍部が見えるところまできました。この鞍部が切通岩という場所で、小林喜作のレリーフが設置されている場所です。


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7:55 大天井岳下の巻き道分岐を右に進みます。


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分岐から少し下ると、切通岩のすぐ上に出ました。梯子があり、岩壁を伝って越えていくようですが、それほど厄介な場所というわけではなさそうです。


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鞍部に降り立つと、大天井岳側の巨岩に喜作レリーフが埋め込まれていました。


切通岩はとくに難しいわけではなかったものの、岩を伝う部分の足場が狭く横向きに伝い歩きをする必要があったので、ストックは侍の刀のようにバックパックのショルダーベルトに挟み込んで、三点支持に気を付けながら通過しました。ストックを片手に持ちながら通過している人もいましたが、見ていて危なっかしかったので、こういうところではあまり横着をしない方がよさそうです。


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切通岩を通過すると、なだらかでアップダウンの少ない縦走路が続いていました。


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昨日のヒュッテ西岳から大天井ヒュッテまでのルートよりもさらに楽で歩きやすい道です。


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8:21 出発してから1時間が経過したところで、休憩にちょうどよさそうなベンチ代わりになる岩を見つけたので、休憩をとりました。後ろを登山道が通っていますが、休憩中は誰も来なかったので、静かに休憩することができました。


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大天井岳を眺めながら、オレオのビッツサンドを食べました。もともとはテントでのんびりする時のおやつとして2袋持ってきたのですが、まだ手を付けていなかったので、行動食がわりにしたわけです。


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休憩後、岩の多い小ピークを越えた先で、ふたたびなだらかで気持ちのよさそうな縦走路をのんびりと進みましたが、その先に結構切れ落ちたような鞍部が待ち構えているのが見えていました。


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振り返れば、槍ヶ岳がくっきり。


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なだらかな縦走路を楽に歩いて来ましたが、とうとう鞍部への下りが始まりました。下る途中で前方の展望が開けた場所があり、道の状況を確認することができました。正面に見える登り返しが大下りと呼ばれている急坂のようです。


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この鞍部への下りの区間はけっこう急斜面だったり、大きな段差があったりで、いままでの楽ちんな縦走路の雰囲気が一変しました。


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9:24 ようやく鞍部まで下り切り、ほっとしながら眼前に迫る大下りを眺めました。本日のルートで唯一の難所といえる場所です。難所と言っても体力的な難所なので、危険がないだけまだましです。


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緩やかに登ってきた鞍部からの道が突然急傾斜の道に変わるところで、ちょうど前の休憩から1時間が経つタイミングだったこともあり、休憩して行くことにしました。


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うまい具合に、ほぼ水平に生えた木がベンチ代わりになり、そのうえ枝葉が木陰を作ってくれていたので、炎天下の日差しを浴びずに休憩をとることができました。

つづく。


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2023/09/16

総距離37㎞のロングトレイル: 槍ヶ岳から燕岳へ その5 

2023年8月30日(水) 長野県松本市 槍ヶ岳(標高3180m) テント泊単独行 



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11:11 ヒュッテ西岳での休憩を終えて出発です。登山道へ出ると、槍ヶ岳がきれいに見えていましたが、空には一面雲が広がっていて、すっかり曇り空になっていました。もっとも、雨になりそうな暗い雲は無いので、下り坂というわけではなさそうです。陽射しがなくなって、かえって過ごしやすくなったといえるかもしれません。


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ヒュッテ西岳から大天井岳方面に歩き始めました。大天井岳の下にある大天井ヒュッテまで約3時間の道のりです。


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槍ヶ岳からヒュッテ西岳までの道と違って、ヒュッテ西岳から大天井ヒュッテまでの区間は、多少のアップダウンはあるものの、比較的平坦な尾根道です。


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ピークを通らずに下の方を巻いて道がついていたりするので、体力の消耗も抑えられて助かります。この写真に写っているピークが赤岩岳という名前のついた山だったみたいですが、まったく気が付かずに歩いていました。途中、山頂へ向かうトレースを見た記憶はありますが、もともとこの区間は単なる移動区間と考えていたので、もちろん登っていません。


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この区間を歩いていてずっと考えていたのですが、縦走って今の自分には楽しいものではないなということを確信しました。今回の縦走で登りたい山は、槍ヶ岳、大天井岳、燕岳の3座だけです。わざわざ20kgにもなる荷物を担いで総距離37㎞にもなる長い距離を移動してその3座に登るより、登りたい山に直接登って下りる方が荷物も軽くなって楽だし、効率がいいわけです。正直なところ、この縦走はしんどいばかりであまり楽しく感じません。昔はこうした長い縦走はむしろ好きだったので、今回その流れで来たのですが、いつの間にか自分の中の価値観が変わっていたことに気が付きました。おそらく体力的なものだったり、年齢とともに考え方が変わったりした結果なのでしょうが、そうした変化は素直に受け止めて、今の自分に最適な方法で山を楽しむことにしようと思いました。


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11:55 赤岩岳下の東に張り出した尾根を回り込むところで、少し休憩をとりました。前方に見えている大天井岳は、山頂部が雲に隠れてしまい、なんとなく嫌な雰囲気がしないでもないのですが、手前の鞍部に大天井ヒュッテが見えている安心感もあって、しっかりと休憩をとりながら行くことにしました。


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12:23 赤岩岳の北にあるなだらかな小ピークまで来ると、道標がありました。まだ行程の三分の一しか来ていないということを改めて実感したわけですが、道がなだらかなこともあって、あまり失望感はありませんでした。


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縦走路は、尾根を時々跨ぎながら続いているので、常念山脈を見ながら歩く区間もあれば、槍ヶ岳と北鎌尾根を眺めながら歩く区間もあります。その意味では、それなりに楽しい縦走路ではありました。



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12:56 2643ピークを越えたところで、2度目の休憩をとりました。


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前回の休憩では昼食をとっていなかったので、ここでランチタイムです。ヒュッテ西岳で購入したブルーベリーパンをスポーツドリンクで流し込みます。食べるものは質素ですが、槍ヶ岳と北鎌尾根を眺めながらの贅沢なランチタイムでした。


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13:32 ビックリ平という広場のような場所に着きました。ここは尾根の末端にあるテラス状の場所で、縦走路は右斜め後ろ方向に下るようについています。ここまでくれば、大天井ヒュッテまで45分ということなので、残りは三分の一を切っているわけです。


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これがビックリ平の末端からみた北側の風景です。名前の由来は知りませんが、とくにビックリするようなものはないし、驚くような絶景が見られるわけでもありません。奥に見えているのが大天井岳、手前左端のピークは、大天井ヒュッテ手前にある2766ピークだと思います。


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ビックリ平から2549標点のある鞍部へ下り、緩く登り返しながら進んで行くと梯子がありました。GPSで確認すると、2549標点のすぐ北で、登山道が突然等高線にたいして直角に30mほど登って行く場所に来たことがわかりました。ヒュッテ西岳から大天井ヒュッテまでの区間で、唯一等高線にたいして道が直角に描かれている場所なので、少なくともこうした梯子がいくつか続くのだろうと思っていたのですが、この梯子を登った先には、今まで通り等高線に沿った形で緩やかな道が続いているだけでした。地形図の道の表記はいったい何を参考に描いているのでしょうか。垂直に登る区間がないのは助かるのでいいのですが、もう少し現実をちゃんと反映した表記にしてもらいたいものです。


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14:17 大天井ヒュッテに到着です。狭い鞍部にあるためか、けっこう風が強く吹いていました。小屋が近づくにつれてダラダラとした上り坂が続くようになってうっすら汗ばんでしまったおかげで、一気に汗冷え状態になってしまいました。登り坂のおかげでそこそこ体力も削られたのでベンチでゆっくり休憩することにしたのですが、さすがにハードシェルを引っ張り出して着なければならないほど寒さを感じました。それでもうっすらと肌寒さを感じましたが、水分補給と行動食でエネルギーチャージをして、ラスボスとなる大天井岳の登りに備えました。ちなみに、大天井ヒュッテは「おてんじょうヒュッテ」と読み、大天井岳は「おてんしょうだけ、だいてんじょうだけ」の両方の読み方をするみたいです。もっとも、「おてんしょうだけ」の方が一般的な読み方のようです。


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14:42 大天井ヒュッテを出発し、段差の大きい階段を少し登ったところにある大天井岳 西分岐を右に進みます。距離は5.5㎞となっています。標準コースタイムは40分ぐらいのようですが、荷物は重いし体力もかなり削られているので、自分としては1時間とみています。


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大天井岳への道は、南斜面を東方向にトラバースするようについているので、比較的緩やかで楽な道かなと思っていたのですが、思っていたよりもずっと険しい道でした。岩場の通過やガレた斜面の通過などが次々と現れて、決して楽な道ではありませんでした。


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15:13 30分ほど歩いたところで、残り500mの道標がありました。5.5㎞の道のりの5㎞を30分で歩いてきたのであれば、500mなどほんの3分程度ということになります。じゃあもう着いたも同然だなどと能天気に思っていたのですが、とんだ勘違いでした。大天井岳 西分岐の道標には、常念岳まで5.5㎞と書いてあったので、大天荘までならもっと短いはずです。なので、3分程度で着くわけがないのです。ちなみに、グーグルマップで距離測定してみたら、大天井ヒュッテから大天荘まで約1kmでした。これは水平距離になるので、標高差約230mを加えても1.2㎞ぐらいしかありません。なので、残り500m時点では、まだ6割程度の距離を歩いたにすぎなかったのです。


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案の定、歩けども歩けども登り坂は終わりません。しかも、稜線が近づくにつれて傾斜がきつくなるので、体力もそろそろ限界に近づきつつある状態では、わずか500mの距離が永遠とも思えるほど長い長い道のりでした。


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ようやく稜線に出て、小屋の方へと道が折り返して傾斜もゆるくなってきたところで、少し上のほうにある岩の上に雷鳥のシルエットが見えました。この山行で初めて見る雷鳥です。


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岩の上にいた雷鳥とは別に、登山道のすぐわきの岩場には、雷鳥の母子もいました。写真は子供の雷鳥ですが、だいぶん成長していて、親鳥といっしょにいなければ子供には見えないほど大きくなっていました。


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4羽ほどのひな鳥と母鳥がいたので、岩の上の雷鳥は雄鳥で、もしかしたらファミリーだったのかもしれません。今日の行程の最後に雷鳥の母子のほっこりする様子をみることができ、疲れも少し癒されたような気がしました。


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15:48 大天荘に到着です。雷鳥がいたところで5分ほど停まっていたので、大天井ヒュッテから予想通り1時間かかりました。途中しんどくなって休憩したりしていたので、仕方がありません。それでも、16時前に到着できて良かったです。


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テント泊の受付を済ませて、小屋に近い比較的平坦な場所にテント張ったのですが、疲れていたためか写真を撮っていませんでした。ただし、テント場から雲の取れ始めた穂高連峰の写真は残していました。


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テントを張り終え、荷物を整理し、穂高連峰の風景を眺めて写真を撮ったら、そろそろ夕食の時間です。メニューは代り映えのしない組み合わせですが、個別の内容は日替わりになっています。赤飯と中華あんかけ、ワカメスープに高野豆腐を具材として加えます。


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出来上がりはこんな感じです。赤飯には食塩がついていたので少し振りかけて食べてみたのですが、しっかり混ぜないとけっこう塩辛くて驚きました。うかつに全部かけてしまっていたら大変なことになっていました。


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食後に水を補給しに行きました。小屋の外側の窓下に蛇口があり、テーブルに置いてあるビンの中にお金を入れてセルフで給水するシステムでした。槍ヶ岳山荘では18時で終わりになってしまいましたが、ここは時間制限はなかったと思います。


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給水して帰る時に安曇野方面を見てみると、けっこう雲が湧いていて、夜景がきれいに見える可能性は低そうでした。夕日や夕焼けも見られなかったし、今日はおとなしくテントにこもって疲労回復に努めたほうが良さそうです。


この夜も昨晩同様強風が吹き荒れ、寒さも同じぐらいのレベルだったので、当初はエマージェンシーシートを寝袋の中に入れて寝てみたのですが、20時や21時の段階ではそこまで寒くなく、かえって寝袋内の湿度が上がって不快感が増したので、いったんエマージェンシーシートは抜き取りました。その後、深夜を回ったころに冷え込んできたので、槍ヶ岳の時と同様に掛布団のようにシートをかぶせて寝ました。しかし、就寝時間中にガサガサとうるさい音のするエマージェンシーシートを出し入れしていたので、けっこう周辺のテントに迷惑をかけたかもしれません。この場を借りてお詫びいたします。その節は大変ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。


つづく。

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2023/09/14

総距離37㎞のロングトレイル: 槍ヶ岳から燕岳へその4 

2023年8月30日(水) 長野県松本市 槍ヶ岳(標高3180m) テント泊単独行 


3日目の朝は、強風がテントをゆすり続ける中、午前4時に目覚めました。深夜から強くなった風が、朝になってもまったく弱まる気配を見せないので、テントをたたむことができるのかという懸念がありました。しかし、風が弱まるのをいつまでも待っているわけにはいかないので、とりあえず起きて朝食をとり、出発の準備を整えました。


それなりに朝焼けがでていたものの、風が強く外に出ると寒かったこともあり、この時はテントからでませんでした。大天井岳までの長丁場になるため、出発時間を遅らせたくなかったというのが、最大の理由です。なんとしても6時30分までには出発しようと思っていました。そのため、パッキングに集中していて、朝焼けどころではなかったわけです。


装備リスト
●アッパー
 ドライレイヤ: ミレー ドライナミックメッシュノースリーブクルー
 ベースレイヤ: アイベックス ウーリーズ150ロングスリーブ
 ミドルレイヤ1: マムート アジリティ ハーフ ジップ Tシャツ
 ミドルレイヤ2: マムート デイトリッパーフリースジャケット
 ハードシェル: マムート エアロスピードジャケット
 インサレーション: バーグハウス ラムチェハイパーダウンジャケット
 グローブ: おたふく PU合成皮革手袋K-12
 アームカバー: AutoGo アームカバー
 キャップ/ハット: マムート アドベンチャーベンチレーションハット

●ボトムス
 ドライレイヤ: なし
 ベースレイヤ: なし
 ミドルレイヤ: マムート ランボールドパンツ
 ハードシェル: マムート マサオライトHSパンツ
 インサレーション: なし
 ソックス: ファイントラック メリノスピンソックスEXPレギュラー
 シューズ: スポルティバ トランゴアルプGTX
 ゲイター: なし

●ギア
 バックパック: マムート クレオンクレスト65+L
 ストック: レキ マイクロバリオタイタニウム
 テント: アライテント Xライズ2
 寝袋: イスカ エア150X
 マットレス: サーマレスト プロライト120
 ヘルメット: グラビティリサーチ アルパインヘルメット


3日目は、朝少し肌寒かったので、メリノウールのロンTに半袖シャツといういでたちで出発しました。もっとも、ヒュッテ大槍まで下りたところで暑くなったので、メリノウールのロンTは脱いで、半袖のマムート アジリティ ハーフ ジップ Tシャツにアームカバーという組み合わせに変更しています。


テント内の片づけとパッキングが終わる頃には風も少し弱くなっていたので、テントの方も悪戦苦闘することなくたたむことができました。ペラペラのグランドシートは、風で飛んでしまわないように細心の注意を払って収納したものの、地面からの湿気で裏面前面がぐっしょりと濡れていて、それを乾かしたり拭き取ったりすることができず、無理やり折りたたんで袋に詰め込んで、なんとか6時前に出発の準備が整いました。


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おかげで、ようやく周囲の風景を眺めることができました。東方遥か、雲海の彼方に富士山のシルエットが見えていました。


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反対方向には、笠ヶ岳。岐阜県最高峰であるこの山も、いまだに山頂を踏むことができていません。


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南方目の前には大喰岳。


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6:12 忘れ物やゴミが落ちていないことを確認して、槍ヶ岳のテント場を離れました。



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槍ヶ岳山荘に寄って幕営許可証を返却し、3日目のスタートです。


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槍ヶ岳はシルエットになって、黒々とした姿で悠然とそびえています。


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6:25 遥か先の大天井岳まで続く東鎌尾根へと踏み出しました。


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槍ヶ岳直下のガレ場をトラバースする区間は、よく整備されていて歩きやすい道です。


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5分ほど歩いただけで、槍ヶ岳山荘が思いのほか小さくなっていました。


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ガレ場が終わると、東鎌尾根の核心部が始まります。ヒュッテ大槍から水俣乗越までの区間が核心部という人もいるようですが、自分で歩いた限りにおいては、一番危険度の高い箇所は、槍ヶ岳下からヒュッテ大槍までの岩稜区間だと思います。切れ落ちた岩稜の区間なので、転滑落は重大事故になる可能性が高そうです。ヒュッテ大槍から水俣乗越までの区間も、長い梯子があったりしますが、基本的には切れ落ちた岩稜のような場所はほぼないので、まだ安心して歩けると思います。もっとも、逆方向から来ると、一番体力が削られるのが水俣乗越からヒュッテ大槍までの区間でしょうから、その意味では核心部といえるかもしれません。


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崖に沿った道を回り込むと、梯子がありました。この梯子は人一人がやっと通れる程度の細い岩稜に設置されていて、下を覗くとけっこうな高度感がありました。


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梯子を通過して、ほっとしたところで振り返ると、朝の光をたっぷりと浴びた槍ヶ岳が見送ってくれているのが見えました。


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崖沿いの細い道を進み、岩峰を回り込むと、やや尾根の幅が広がってきたものの、相変わらず切れ落ちた岩稜の道が続きます。この尾根を下りながら、燕岳からスタートしなくてよかったと思いました。長い表銀座の縦走路を歩いて来て、体力もだいぶん消耗してきた終盤になってこの尾根を重い荷物を担いで登るのはごめんこうむりたいところです。ましてや、水俣乗越からとなると、もっと高低差が大きいわけですから、バテバテのヘロヘロになることは明らかです。


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7:01 殺生ヒュッテへ下る道の分岐を通過します。殺生ヒュッテへの分岐を過ぎると、道は比較的緩やかになり歩きやすくなりました。


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7:15 ヒュッテ大槍に到着です。小屋の手前の展望のいい場所にベンチとテーブルが設置されていたので、ここで休憩して行くことにしました。


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いつの間にか槍ヶ岳も遠くになっているなと感じます。


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ここからは、今まで見えなかった北穂高岳や前穂高岳も見えました。


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朝食用に持ってきていたカレーパンをまだ食べていなかったので、ここで行動食として食べておきました。ちなみに、朝食はイオンのカロリーメイトもどきのライトミールブロックを食べました。本来はそちらが行動食ですが、起き抜けはあまり食欲がでないので、逆にしたというわけです。


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7:35 20分ほどゆっくりと休憩をとって、ヒュッテ大槍を後にします。ヒュッテ大槍はかわいらしいというか、なんとなくメルヘンチックな雰囲気のある小屋で、展望もいいので、いつか泊まってみたいと思える山小屋でした。


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ヒュッテ大槍からは、東鎌尾根の最低鞍部となる水俣乗越へ下り、西岳の登り返しを登り切ったところがヒュッテ西岳です。標高差の大きいこの区間が、体力的にはもっとも厳しい区間となります。


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少し歩くと、ヒュッテ西岳までのルートが展望できました。遥か遠くの常念岳の左手前に西岳があり、ヒュッテ西岳はその右手にある肩にあります。そこがゴールであれば楽ですが、まだ中間地点に過ぎません。大きく切れ落ちた水俣乗越までの下りと、西岳への登り返しでどれだけ体力を温存できるかが勝負です。


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8:00 ヒュッテ大槍から30分弱でベンチのある場所があったので、少し休んで行くことにしました。場所的には、標高2700m付近です。


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見上げれば、ヒュッテ大槍のある尾根のピークが背後に見えました。その背後にある槍ヶ岳は、なんだかやたら尖って見えました。


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休憩を終えて下って行くと、徐々に水俣乗越手前のピークが近づいてきました。こうしてみるともう2つほど小ピークを越えれば着きそうな感じですが、この尾根は左右に蛇行しながら上下の高低差もあるので、見えていない尾根がけっこうあるみたいで、見えているよりもずっと長く時間のかかる尾根でした。歩けども歩けども水俣乗越が近づかないような気がしてきて、半ば切れつつ歩いていたような気がします。


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時には、長い梯子もありました。


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2595標点の手前まで来ると、3段になった長い梯子が現れました。ちょうど降りてくる人がいたので、写真を撮った場所で待っていたのですが、これが失敗でした。梯子のすぐ下まで行って待っていないと、次に上から来た人が誰も待っていないと思って下り始めてしまい、余計に待つ羽目になってしまったのです。しかも、その人は高所恐怖症なのかやたら動きが遅く、1人で「ひえ~ 怖い!」などと声をあげながらゆっくりゆっくり降りてくるので、5分近くも待つ羽目になりました。さすがに、これ以上待つ羽目になったらかなわないので、梯子のすぐ下まで行って待っていると、案の定上に人が現れて下をのぞき込んでいます。下り始めたら待つように声をかけるつもりでしたが、さすがにこちらが先に下で待っていたことを理解していたようで、梯子が空いたら「どうぞ」と上から声がかかったので、すぐに登ることができました。


待たされてイラついていたことと、上で待っている人がいるということで、急いで3段梯子を登ったのはいいものの、標高が2595mもあるため途中で息が切れてしまい、なんとか登り切った時は酸欠で死ぬかと思うほどでした。少しの間立ち止まって深呼吸をしてようやく息を整えて歩き出せたものの、かなり体力を削られてしまったという感じでした。


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9:05 3段梯子を過ぎると、木道のある道になり、その後は比較的なだらかな尾根道となりました。その後、傾斜の急な下り区間を過ぎると、不意に道標のある鞍部に出ました。そこが水俣乗越でした。水俣乗越には、なぜだかやたら外国人がいて、中国語や韓国語が飛び交っていて、違う国に来たような妙な感じでした。白人系の登山者もいましたが、聞こえてくるのは中国語と韓国語ばかり。水俣乗越ですこし休憩したのですが、その間も続々と騒がしい人たちがヒュッテ西岳方面から降りてくるので、ツアーの団体が来ていたのかもしれません。


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こちらは下ってきた槍ヶ岳方面の尾根です。上から見ると、東鎌尾根の途中で水俣乗越がやたら深く落ち込んでいるように見えましたが、思っていたよりは標高差は大きくなかったなという感じです。地形図で見ても、せいぜい40m程度です。一方で西岳ヒュッテへの登り返しは200m強あり、しかもかなりの急登です。


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水俣乗越からの登り返しはかなりの急登で始まります。上から声が聞こえてこなくなったことを確認してから出発しました。


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急登を抜けると、崖に渡された桟橋を渡ります。その先にもきつそうな小ピークが待ち受けているのが見えました。


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滑りそうな急傾斜の岩場を登って行くと、登りきる直前の狭くなった場所で上から1人の若そうな男性がおりてきました。てっきりこちらが登りきるのを待ってくれるのかと思ったら、狭い場所に無理やりねじ込むように入り込んできて、そのまま下って行きました。すれ違いざまになにやら韓国語らしい言葉をしゃべっていたのですが、もちろん何を言っているのかわかりません。登山のマナーも知らない人は、わざわざ日本に来てもらわなくていいので、どうか自分の国で存分に自分勝手な登山を楽しんでもらいたいものです。


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岩場を越えるとしばらくはなだらかな尾根道になったのですが、それもすぐに終わって、いよいよ西岳に取りつく場所まで来ました。ここからは絶壁のような西岳の西斜面を登って行きます。


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10:07 急勾配の道を上って行くと、鎖のかかった岩場が現れました。ここでも上から話し声が聞こえてきたので、下で待っていると中国語と思われる言葉をしゃべるグループが下ってきました。これまでの経験だと、待っている人など目もくれずに大声でしゃべりながらずんずん通過していくのが通例でしたが、このときはマナーも良く、あいさつもして通過していったので、どうやら大陸ではないところから来た人達だったのかもしれません。


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鎖のかかる岩場と、その先の梯子を越えてがけっぷちの道をひと登りした後は、丸太の階段です。地図でルートを確認したときに、ヒュッテ西岳の手前でほぼ等高線に沿った道になることがわかっていたので、もうそろそろかと思いながら登ってきたので、この階段を見てかなりがっくりきました。


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ようやく道がほぼ水平な状態になったので、ヒュッテ西岳が近くなったことを実感しました。


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10:39 待ち焦がれたヒュッテ西岳に着きました。槍ヶ岳を出発して4時間強。下って登っての東鎌尾根にかなり体力を削られていたので、ここで休憩できると思うと心底ほっとしました。予定では10:34着となっていて、わずか5分遅れだったのが不思議です。というのも、水俣乗越の時点で25分ほど遅れていたのに、きつい登りの西岳の登り返しで20分の遅れを取り戻したことになるからです。とくにペースを上げたわけでもないし、それほど取り返せるとは思えません。やはり、ヤマケイオンラインの標準コースタイムが、下り区間だけやたら早く設定されているといえそうです。


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東側に回り込むと玄関があり、その奥の壁際にベンチが並んでいたので、そこに荷物を下ろしました。今日は途中で山小屋があり水の補給が可能なので、出発時に水は1Lしか持ってきていません。この時点でほぼ飲み切った状態だったので、ヒュッテ西岳の売店で2Lの水を購入しました。1L=200円でした。念のため直接飲むことができるか聞いてみたら、大丈夫とのことでした。もし煮沸前提だったらミネラルウォーターを買うつもりでした。ついでに、昼食用にブルーベリーパン(250円)も買っておきました。


正面に常念山脈を眺められるベンチに座って休憩しながら、行動食を水で流し込みました。ここから先、まだ4時間強の行程が待っているので、ここでしっかりと休憩をとっておく必要があります。かれこれ30分ものんびりしてから、出発しました。2Lの水が増えた分荷物はずっしりと重くなりましたが、ここから大天井ヒュッテまでは、大きなアップダウンのない比較的緩やかなルートなので、なんとかなるでしょう。

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つづく。


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2023/09/10

総距離37㎞のロングトレイル: 槍ヶ岳から燕岳へ その3 

2023年8月29日(火) 長野県松本市 槍ヶ岳(標高3180m) テント泊単独行 



槍ヶ岳山荘のテント場で、ランチとしてカップヌードルカレーを食べて満足した後で、しばらく体を休めることにしました。なにしろ久しぶりのテント泊装備20kgを背負って標高差1000mを登ってきたので、かなり体力を消耗していましたし、昨日の上高地からババ平まで15㎞の移動の疲れも残っています。それに、なんとなく頭痛がしていて、軽い高山病になっているようです。もっとも、高山病にかかったらそのまま寝るのは厳禁なので、昼寝をするのは避けないといけません。寝ると呼吸が減って酸素の摂取量がすくなくなるので、高山病に拍車をかけてしまいます。横になって体内での酸素消費を抑制し、深い呼吸で酸素を多く取り込むようにするのがいいみたいです。


なので、横になって寝ないように気をつけていたのですが、さすがに疲れている上にお腹が満たされた状態で横になって睡魔に襲われないわけがなく、自分では意識はもっていたつもりでしたが、気がついたら2時間ほど経っていました。完全に意識が飛んでいたようです。もっとも、そのおかげで体力はそれなりに回復していました。横になる前は槍ヶ岳に登る気力はほぼないような状態でしたが、起きてみるとそういうネガティブな気持ちはなくなっていました。


起きてから白湯を飲み、少しの間軽いストレッチなどしてからテントを出て槍ヶ岳の方を確認してみると、ガスも晴れていました。槍ヶ岳に登っている人もちらほら見えるぐらいだし、下山している人が多く登っている人はほとんどいない状態です。夕食の時間も近くなっているので、これから登る人はあまりいないだろうということで、今日のうちに槍ヶ岳に登っておくことにしました。


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槍ヶ岳山荘の前を過ぎて、槍の穂先への取りつき点に向かいます。槍の穂先は、登山道と下山道がほぼ明確に分けられていて、下山する人を待たなくても済むようになっています。写真に見えるアプローチ部分でさえ、上が登山道、下が下山道となっています。昔登った時の記憶はあまりないのですが、当時はこれほど明確に分けられていなかったような気がします。


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16:03 槍ヶ岳肩分岐の道標から槍の穂先に取りつきます。


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短いアプローチ部分を過ぎると、すぐに岩場が始まります。それなりに切り立った岩場ですが、手がかり足がかりはしっかりしていて豊富なので、それほど難易度は高くありません。


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いったん小さな岩尾根を乗り越えて反対側にでたら、そのまままっすぐに登って行きます。


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こうしてみると完全なロッククライミングの世界のように見えますが、ロープや鎖がなくても三点支持だけしっかりと確認しながら登れば、とりたてて高度な技術は必要ありません。


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高度が上がってくると、いよいよ梯子が迫ってきました。昔の記憶だと、梯子は2段ほどしかなったと思っていたのですが、すくなくとも登りの梯子は4段ぐらいありました。


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見上げればほぼ垂直に見える岩壁にかかる梯子を、慎重に下ってくる人の姿が小さく見えます。しかし、同じルートを通らないので、待つ必要もなく自分のペースで登って行けるので案外楽です。


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1つ目の梯子を越えて2つ目の梯子の手前で、手がかりのない大きな岩を登る部分があるのですが、鉄の杭が岩に打ち込まれているので、それを使って登って行きます。ぐらついたりするようなことはないので問題ないのですが、なぜかこの部分が一番ヒヤリとしました。自然の岩だと自分の一番登りやすい手がかり足がかりを探して登ることができますが、ここは人工的に設置された鉄杭を使うしかないため、鉄杭の設置場所が自分の歩幅やリーチの長さとしっくりこない間隔であったり位置だったりするためだと思われます。


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そして、いよいよ山頂直下の梯子まで登ってきました。ここまで約20分です。左が登り専用、右が下り専用です。



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16:27 2つの鉄梯子を慎重に登り、22年ぶり2度目の槍ヶ岳登頂を果たしました。他の3000m峰と違って、槍ヶ岳は山頂部分がいま登ってきたようにかなり難易度の高いルートになっているので、山頂に立った時の達成感や満足感は比較できないほど高く感じます。あの剱岳でさえ、カニの縦ばいを越えてしまえば山頂まではわりと広く安心感のある岩稜をゆっくりと歩いて登ることができるので、達成感という点では槍ヶ岳が一枚上手のように思います。


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山頂の祠の前で記念撮影しているグループがいたので、ひとまず山頂からの風景を楽しむことにしました。先ほどまでいた槍ヶ岳山荘が眼下に小さく見えています。この風景は、22年前にも眺めたことを鮮明に覚えています。


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東側は、東鎌尾根と殺生ヒュッテの赤い屋根、そして今日登ってきた槍沢ルートがはるか下まで伸びているのが見えます。ややガスっているものの、常念山脈もおおむね見えていました。


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北方向は雲が多く、この時は立山や剱岳は見えていませんでした。


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ただし、すぐ近くの赤い山肌をした硫黄尾根は一部だけですが、見えていました。


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祠の前が空いたので、急いで記念撮影をすませました。


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槍ヶ岳の山名板が入っていなかったので、念のため山名板の写った写真を載せておきます。


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その後、しばらくは風景を眺めながら山頂でのんびりしていました。ときどき雲に視界を奪われたりもしましたが、すこし待つと雲が切れて展望が回復するという感じでした。夕日に照らされた常念山脈もきれいに見えました。


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北方面の雲はほぼ取れない状態だったので、剣や立山の姿を見ることはかないませんでした。


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硫黄尾根だけは、比較的よく見えていましたが・・・


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17時近くなってようやく山頂から誰もいなくなって貸し切り状態になったので、動画の撮影をしていましたが、ガスで展望がなくなったため下山することにしました。


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17:16 無事に槍分岐近くまで下りてきました。22年ぶりの槍の穂先に立つことができて、なんだか妙に充実感がありました。


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ふと見ると、常念岳が妙に存在感を放っていました。登りたい山がまたひとつ増えたように感じます。


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テント場へ戻る途中に振り返ると、ガスに巻かれていた槍の穂先が、またくっきりと姿を見せていました。


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テントへ戻ると、目の前に大喰岳の姿もくっきり。本当は、昼食後にこの先の中岳あたりまで行って帰ってくることを考えていたのですが、さすがにその体力はありませんでした。


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常念山脈もすっかりガスが消えています。明日は左端の大天井岳までの長丁場です。


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常念岳の右側に連なる蝶ヶ岳も見えていました。2015年の年末年始に登った蝶ヶ岳から見た朝日に染まる穂高連峰の美しさはいまでも鮮明に覚えています。


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テントに入ろうとしてふと踵の違和感に気が付いてなんだろうと見てみると、なんとソールがはがれかけているではありませんか。幸い、まだかかと部分だけなので、べろべろになって歩行に支障をきたすほどの状態ではありませんが、この先剥がれが広がってしまうと、歩くことができなくなる可能性もあるので、これ以上悪化しないように慎重に歩く必要があります。


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まずいことに、左右とも同じ状態でした。あと3日間、なんとしても悪化させないようにしなければなりません。


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とりあえず、おなかも空いていたので、さっそく食事です。昨晩とほとんど同じメニューですが、種類は異なります。今日はエビピラフと牛肉の卵とじ、卵と鳥団子の具沢山の味噌汁に追加具材としての高野豆腐です。


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食事ができるまでの間、少し外に出てみましたが、平日とはいえテント場はそこそこ埋まっていました。中には、シルバーシートを地面に敷いて、タープで屋根だけ作って寝ようとしている強者がいて、ちょっと驚きです。気温がかなり下がるだろうし、風も強くなる可能性があるのに、はたして安眠できるのでしょうか。


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飛騨側はずっとガスが覆っていたのですが、いつの間にか雲海になっていました。太陽も顔を出しています。


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大喰岳の背後に荒々しい雲ノ峰が連なります。手前の青いテントが僕のテントです。


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槍ヶ岳も夕日に照らされていました。


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さて夕食ですが、昨日同様上手に作ることができ、美味しくいただきました。まあ、お湯を注ぐだけなので、上手も下手もありませんが。


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食後に外を見てみると、きれいな夕景の空が広がっていました。


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その夜は、想像していた通り眠れないほどの寒さとなりました。昨晩のババ平では使用しなかったゴアテックスのカバーを寝袋にかぶせ、レインウェアまで着こんで寝たのですが、それでもまだ寒くて目が覚めました。最後の手段としてエマージェンシーシートをかぶせてみたら、さすがに暖かくなりました。ただし、夜中にがさがさとうるさい音を立ててしまったので、近隣のテントには迷惑をかけたかもしれません。エマージェンシーシートは水蒸気を通さないので内側に結露してしまうのが難点ですが、冷気を遮断して体温を反射してくれるので、大いに助かりました。結露に関しては、ゴアテックスの寝袋カバーのおかげで、寝袋が濡れることは無かったので問題はありませんでしたが、起きたときにさすがに汗拭きタオルで結露をふき取っておきました。


このように、エマージェンシーシートはテント泊ですら役に立つものなので、万が一のために登山時にはかならず携行することをお勧めします。100円ショップのものでも持っていないよりははるかにいいです。このペラペラのシート1枚で命が助かるのであれば、これほど安いものはありません。

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槍ヶ岳登頂時はGPSを持って行かなかったので、ログはありません。

つづく。


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2023/09/07

総距離37㎞のロングトレイル: 槍ヶ岳から燕岳へ その2 

2023年8月29日(火) 長野県松本市 槍ヶ岳(標高3180m) テント泊単独行 


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2日目の朝は午前4時に起床。白湯を飲んで体を温めた後、持ってきたパンとカフェラテで朝食を済ませしました。いままでは、朝食用にラーメンだったり、アルファ米だったり、それなりに手間のかかるものを利用していましたが、今回は極力手間のかからないものとしてパンを持ってきました。この後も、3日目、4日目とすべてパンとカフェラテの朝食です。お湯を沸かすだけで済むので、楽で良かったです。


なお、炎天下に持ち歩くと痛んでしまいかねないので、パンは100円ショップで売っていた保冷袋に入れてバックパックに収納していました。保冷剤は入れていませんが、朝の冷えている時にジッパーを閉めてしまえば、それなりに熱を遮断してくれるので、4日目の朝でも全く問題なく食べることができました。もちろん、消費期限が8月31日のパンを残していたというのもあるとは思いますが。


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5:54 わりとのんびりとパッキングをして、テントを撤収し終えたのは午前6時近くになっていました。のんびりしていたのは、今日は槍ヶ岳まで登るだけというのが理由です。予定ではお昼頃に槍ヶ岳山荘に到着することになっていたので、6時出発でも時間的な余裕はたっぷりありました。なお、服装や装備は、前日のものと同じです。当初は着替えるつもりでしたが、今日が一番汗をかきそうだったので、どうせなら槍ヶ岳についてから着替えることにしました。なので、昨日から着たままです。


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天気は上々で、青空も見えています。


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もっとも、槍ヶ岳方面には雲がかかっているのがやや気になるところですが、天気予報では少なくとも午前中は晴れとなっているので、途中で雨に降られることはなさそうです。


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テント場の管理小屋前まで出てみると、槍ヶ岳方面にかかっている雲は徐々に薄くなっている感じでした。それにしても、この絶壁に囲まれた槍沢の風景は、写真で見たフィンランドなどにある氷河に削られた谷フィヨルドを連想させます。かつてはここにも大きな氷河があり、それによって削られた痕跡として絶壁が取り囲むU字谷が形成されたわけです。



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朝日にほんのりと赤く染まり始めた雲を眺めながら、槍沢を遡っていきます。雲のかかっている尾根は、明日歩く予定の東鎌尾根です。

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気が付くと東鎌尾根にかかっていた雲は消えて、荒々しい稜線が青空にくっきりと見えていました。


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6:36 水俣乗越への分岐に着きました。ここが大曲りと言われている場所で、北北西に向かっていた槍沢が西へ向きを変える場所です。


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大曲りから先はU字谷の幅が広がって、開放感のある谷の雰囲気に変わりました。朝の陽ざしが東から差し込むので、西に広がる谷の奥の方まで陽射しが入るようになりました。


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谷を詰めていくと、槍ヶ岳に連なる大喰岳(右)と中岳(左)の姿が正面に見えるようになりました。


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振り返れば、ババ平の上にそびえていた赤沢山から太陽が顔を出し始めていました。日本にもこれほどのスケール感を持つ谷があったんだなと改めて思いました。わざわざ歩行距離が長くなるのに槍沢ルートを選んだのは正解だったかもしれません。このルートは、一度は歩く価値のあるルートではないかと思います。


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7:54 天狗原分岐に到着です。ここから左へ行けば、天狗原を経由して南岳近くの稜線に出ることができます。当初は、そのルートで稜線に出て、中岳、大喰岳を経て槍ヶ岳に向かう3000mの稜線歩きを楽しむつもりでしたが、それだと槍ヶ岳山荘に着くのが15時頃になってしまうことと、体力的に厳しいことが予想されたので、素直に槍沢経由で行くことにしました。


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天狗原分岐で15分ほど休憩をとって、グリーンバンドへの急登に取りつきました。写真中央あたりに見えているハイマツ帯がグリーンバンドと呼ばれている場所で、けっこうな崖地の上に広がっているため、ここを越える部分がかなりの急登になっています。天狗原分岐からは標高差200mぐらいの急登が続きます。

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9:08 ようやく急登を抜けて、グリーンバンドの高さまで登ってきました。この少し手前、急登の終わる場所で沢を横切る場所があり、そこが最後の水場となります。この時は、その水場が使えるのかどうかわからなかったので、ババ平を出るときに2Lの水を担いできたのですが、水量は豊富で水場として十分利用できる状態でした。なので、わざわざババ平からたくさんの水を担いでくる必要は無いようです。


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グリーンバンドまで来ると、ようやく待望の槍ヶ岳が姿を見せてくれました。真っ青な空に向かって、まさに天を突く槍のごとき鋭い尖峰が凛として起立するその姿は、名前にふさわしい気品と風格を漂わせています。2001年に初めて槍ヶ岳に登ってから22年ぶりの再訪です。あれからそんなに年月が経っていたのかと、改めて時の流れの速さを感じました。当時の山行記録はこちらです。


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9:19 グリーンバンドの上に出て、槍ヶ岳も見えてきたところで、休憩をとることにしました。天狗原分岐から1時間強の間、急登を休まず登ってきたのでさすがに疲れました。朝食にパンを1個たべただけなので、ほぼシャリばてに近い状態でもありました。なので、エネルギー補給も必要ということで、行動食として持ってきたスローバーというのを食べました。いつも食べている一本満足バーみたいなやつで、ブルボンの商品です。クッキーとなっていますが、ある程度のしっとり感があり、口の中がパサパサになるほどの感じはなく、美味しく食べられました。とはいえ、水なしで食べるのはちょっとつらいかなというところです。


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9:39 休憩場所から7分ほど歩いたところに、1400の文字が書かれていました。そういえば、休憩場所の少し手前あたりに1500と書かれた岩もありました。どうやら、何かの距離を現しているようです。この時点で1400ということは、おそらく単位はメートルで、槍ヶ岳山荘までの距離なのだろうと推測されるわけですが、なにしろ何の情報も無いので、それが正しいのかどうかわかりません。


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槍ヶ岳が見えるようになったものの、登山道の傾斜は次第にきつくなって、歩いても歩いても近づいてこないような気がします。幸い、空気はひんやりとしていて、真夏の直射日光が照り付けていても暑いと感じることは無く、汗もほとんどかくことがないので、その点では助かりました。


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9:45 ヒュッテ大槍への分岐路に着きました。分岐からヒュッテ大槍の方へ10mほど行ったところにベンチがあったので、少し休憩して行くことにしました。道標には坊主岩屋下と書かれていますが、いわゆる坊主岩屋とは播隆上人が修行したという岩屋のことで、岩屋はこの分岐から一段登ったところにあります。

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ベンチに座ると、正面に赤沢山が見え、その奥にスライムのようなとんがった姿の常念岳が見えていました。


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背後には槍ヶ岳、そのすぐ下に見える小屋がてっきりヒュッテ大槍だと最初は思っていたのですが、あとで殺生ヒュッテだとわかりました。ヒュッテ大槍はこの分岐からは見ることはできません。


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休憩を終えてひと登りすると、播隆窟の前に出ました。


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中はそこそこの広さがあり、これなら雨風をしのいでしばらく生活することはできそうです。


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江戸時代に今のような装備もなく、ろくに登山道も整備されていない状態で、よくこんなところまで登ってきて修業したものだと驚愕せざるを得ません。現代に生きていれば、さぞや優秀なクライマーになっていたことでしょう。


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10:18 播隆窟から15分ほど登ると、1000の数字がありました。いつのまにかグリーンバンドから500mも進んでいたようで、残り1000mなら大丈夫だなと安心感が湧いてきました。こういう風に、確実に近づいているとわかる案内は、気持ちの上で助かります。「もうすぐ〇〇」といった感覚的な案内だと、受け手側が自分なりの感覚でその距離や時間を解釈してしまい、現実との乖離にイラつく結果となるので、このような具体的な数字の案内はとても有効です。


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10:49 殺生ヒュッテ近くの殺生分岐まで来ました。この少し下にも殺生ヒュッテへの分岐がありますが、こちらは上側の方です。トイレに行きたくなっていたので、ここにバックパックをデポして、殺生ヒュッテまでトイレを借りに行きました。時間にして2~3分の距離です。


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殺生ヒュッテにはなんとなく古めかしくおんぼろな小屋というイメージを持っていましたが、実際に見てみると全然そんなことは無く、こぎれいでしっかりとした作りの小屋でした。


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屋外トイレは山小屋をぐるりと回った反対側にありました。こぎれいでしっかりとした作りの小屋という印象とは逆に、屋外トイレは当初のイメージ通りの古めかしくおんぼろという雰囲気だったのがちょっと意外でした。


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11:28 殺生分岐から5分ほど歩くと、残り600mの表示がありました。もうここまで来たんだなという思いと、これからあの急坂を600mも登るのかという思いが交錯します。


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100づつ減って行く数字を見ながら、淡々と足を進めました。


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ガスが槍ヶ岳の姿を隠し始め、なんとなく気分的に落ち込みます。もしかしたらこのままガスってしまうかもしれないと思うと、気分も盛り上がりません。


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山荘が近づいて、110肩の表示を見ると、精神的にも体力的にもかなり凹んでいたのが少しだけ持ち直しました。とにかく、20kgの荷物をこれで下ろすことができると思うと、それだけで安堵感に包まれました。


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12:15 槍ヶ岳直下の槍ヶ岳分岐に着きました。明日はここから右へ下って行きますが、とにかく今は左の山荘を目指します。


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槍分岐から山荘までの最後の数十mが長く感じました。


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受付でテント泊の手続きを済ませ、さっそくテントを設営しました。混雑時は受付時点で場所を指定されると聞いたことがありますが、平日で混んでいないためか、場所は自由に決めて、あとで設営場所を申告に来てくれとのことでした。僕が設営したのは、25番。テント場に入って左手一番奥の場所で、大喰岳を目の前に見ることができ、東側と北側には岩があるので、2方向からの風であればある程度防いでくれると思われます。


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テントを張り終えるころには、槍ヶ岳にかかっていたガスは晴れて、槍ヶ岳も姿を見せてくれました。


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そのためか、山頂には多くの登山者の姿が見え、登山ルートにもたくさんの登山者が登って行くのが見えました。なので、登頂はひとまずおいておいて、ランチを食べることにしました。


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テントの設営場所を申告に行くと、同じ番号の木札を渡されて、明日の朝8時までに撤収して木札を返却してくれとのことでした。帰りに売店でカップヌードルを買ってテントに戻りました。お湯なしで450円、お湯ありだと500円です。


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お湯は自分で沸かして、カップヌードルを作りました。なんだかめちゃめちゃおいしく感じたのは、空腹だったからなのか、それとも山で食べるからなのか、いや、その両方だったからなのでしょう。ちなみに写真では見えていませんが、薄切り餅を入れて食べたので、カップヌードルとお餅で十分おなかが満たされました。

つづく。

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2023/09/05

総距離37㎞のロングトレイル: 槍ヶ岳から燕岳へ その1 

2023年8月28日(月) 長野県松本市 槍ヶ岳(標高3180m) テント泊単独行 


長らく立案したまま実行する機会がなかった北アルプスの表銀座縦走計画ですが、ようやく実行する機会が訪れました。天気予報で、8月最終週はほぼ安定した晴天予報がでており、このチャンスに行くしかないと思い、急遽準備をして出発しました。


計画の段階では、中房温泉からの入山や新穂高温泉からの入山なども検討したのですが、もっとも標高の高い槍ヶ岳を最後に残すというのは、体力的に厳しいと判断し、槍ヶ岳は最初に登る計画としました。では、どこから入山するかですが、槍ヶ岳に登るルートとしては、上高地から槍沢を辿るルートと、新穂高温泉から槍平を経由するルートの2つが主なルートとなります。


歩行距離が短い新穂高温泉からのルートの方が楽ですが、中房温泉に下山してから新穂高温泉まで戻ってくるのが乗り継ぎが多く待ち時間も多くて約6時間もかかってしまうこと。車を穂高駅前駐車場に停めた場合は、穂高駅から新穂高温泉まで行くのに時間がかかり、歩きはじめるのが10時過ぎになるといったことがあり、最終的に車は穂高駅前駐車場に停めておいて、朝一番で上高地に移動するというプランとなりました。しかし、現実問題として上高地入山でもせいぜい30分程度早くなるだけで、歩く距離が短く2時間ほど短縮できる新穂高温泉から入山したほうが体力的には楽だったと思います。それをあえて上高地入山にした理由は、新穂高から槍ヶ岳へ登るルートは一度歩いたことがあるのに対して、槍沢経由のルートはまだ歩いたことが無かったという単純な理由です。


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ちなみに、ヤマケイオンラインで作った縦走計画によると、総距離は約37.3㎞となっていますが、グーグルマップで距離測定してみると、上高地から中房温泉まで約34kmでした。これに上下の高低差合計約6.6㎞を加えると、約40.6㎞となるので、誤差を考えると37.3㎞というのはほぼ実際の距離として計算されているようです。


装備リスト
●アッパー
 ドライレイヤ: ミレー ドライナミックメッシュノースリーブクルー
 ベースレイヤ: アディダス 化繊Tシャツ
 ミドルレイヤ: マムート デイトリッパーフリースジャケット
 ソフトシェル: なし
 ハードシェル: マムート エアロスピードジャケット
 インサレーション: バーグハウス ラムチェハイパーダウンジャケット
 グローブ: おたふく PU合成皮革手袋K-12
 アームカバー: AutoGo アームカバー
 キャップ/ハット: マムート アドベンチャーベンチレーションハット

●ボトムス
 ドライレイヤ: なし
 ベースレイヤ: なし
 ミドルレイヤ: マムート ランボールドパンツ
 ハードシェル: マムート マサオライトHSパンツ
 インサレーション: なし
 ソックス: ファイントラック メリノスピンソックスEXPレギュラー
 シューズ: スポルティバ トランゴアルプGTX
 ゲイター: なし

●ギア
 バックパック: マムート クレオンクレスト65+L
 ストック: レキ マイクロバリオタイタニウム
 テント: アライテント Xライズ2
 寝袋: イスカ エア150X
 マットレス: サーマレスト プロライト120
 ヘルメット: グラビティリサーチ アルパインヘルメット
 

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久しぶりのテント泊縦走ということで、準備にはしっかりと時間をかけたつもりでしたが、いくつかミスをしました。まずは、ボトムスのインサレーション、つまりダウンパンツを入れ忘れたことです。3000m前後の稜線でのテント泊なので、朝晩の冷え込みは平地の冬と同じぐらい寒いということをすっかり忘れていました。なので、夜中から朝にかけて寒さで眠れず、いろいろと手持ちのものを使ってなんとかしのいだという感じです。


それと関連しますが、寝袋とダウンジャケットも保温力不足だったので、選択を間違えたと言えます。イスカ エア150Xは最低使用温度8度となっていますが、快適に寝られるのはせいぜい12度ぐらいといった感じなので、夏の終わりの3000m級のテント場では、10度を下回ることも珍しくなく、そうであればそれなりの保温力を持ったダウンジャケットやダウンパンツを組み合わせなければ快適に寝ることができません。保温性能に劣るシングルウォールのテントを選んだのであれば、なおのことです。今回はダウンパンツを忘れてしまった上に、ダウンジャケットはかなり薄手のバーグハウス ラムチェハイパーダウンジャケットを選択してしまったので、寝袋もダウンジャケットもまったくの力不足でした。


日中の行動時における服装に関しては、特にこれといって気になるようなことは無く、暑くて大汗をかいたり、寒くて着込んだりということはありませんでした。ミドルレイヤのフリースは夜間の保温着なので、日中の行動時は着用していません。



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8月27日の朝7時過ぎに自宅を出発し、塩尻ICを降りたのが15時を回ったころでした。目的地はJR穂高駅なのに、なぜ塩尻ICで降りたのかというと、お風呂に入るためです。穂高駅の近くには日帰り温泉がなく、車で10分ほどのところに「しゃくなげの湯」がありますが、土日祝日は100円割高の700円となるので、440円で入浴できる塩尻の銭湯「桑の湯」に立ち寄ることにしたわけです。


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「桑の湯」は、なかなかレトロで味のある銭湯でした。


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銭湯から北へ20mほどのところに駐車場もあり、到着したときは幸運にも1台だけ空きがあり、すぐに車を停めることができました。これもあらかじめ調べていたからわざわざ立ち寄った理由です。駐車場がなければさすがに立ち寄れませんし、コインパーキングなどを使わないといけないのであれば、価格的なメリットがなくなってしまいます。


たっぷり1時間銭湯を楽しんだ後、一般道で穂高駅方面に向かいました。途中のコンビニで早めの夕食として弁当を食べ、やるべきことはやり終えてあとは寝るだけです。当初は穂高駅前の登山者用駐車場で車中泊をするつもりでしたが、途中でそれは都合が悪いことに気が付きました。登山者用駐車場にはトイレがないのです。さすがにそれではまずいので、少し手前にあった道の駅 北アルプス安曇野ほりがねの里で一晩過ごすことにしました。


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8月28日は朝5時過ぎに起き、すぐに穂高駅前駐車場へ移動。準備を整えてJR穂高駅に6時40分頃に到着。7:02発の松本行に乗ったのですが、これが通勤通学のラッシュ状態で、大きなバックパックは足元に置いてはいるものの、ちょっと気まずい状態でした。ラッシュアワーの電車に乗るのはかれこれ30年ぶりぐらいです。東京でのサラリーマン時代を久しぶりに思い出しました。


7:30に松本駅6番ホームに到着し、人ごみにもまれながら階段を上がって一度改札を出て、松本電鉄の新島々行の切符を買って改札を入ると、なんと電車はさっきついた6番ホームの向かい側の7番で、同じホームでした。だったら人混みがなくなるのを待って、ホームのベンチにバックパックを置いて切符だけ買いに行けばよかったのにと悔しがるも後の祭りです。


8:02発の松本電鉄新島々行は比較的空いていたので、今度はしっかりと座って行くことができました。平日早朝の電車ですが、観光客らしい人がそれなりに乗車していて、混雑はしていないものの、椅子の方はほぼ満席状態でした。


8:32に新島々に着いて、すぐにバスの切符を買ってバスに乗り込むと、なんとほぼ満席です。荷物は持ち込んでも預けて荷室に入れてもいいとのことでしたが、持ち込む場合は膝上で抱えてくれとのことでした。20kgのバックパックを1時間も膝の上で抱えるのはごめんこうむりたいので、荷室に預けて乗り込むと、一番後ろの席が空いていたので、窓側をキープ。結局、補助席まで使う満員乗車状態となって出発。


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平日月曜日の朝でこれかよと思いながらバスに揺られて、9:45に上高地に着きました。


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上高地バスターミナルで、トイレに行ったり、水を汲んだり、朝食を食べたりとなんだかんだとしていたら、いつの間にか10:30になっていて、あわてて出発しました。


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河童橋はやっぱり混雑していました。ほとんどは観光客なので、マジ装備の登山者は、なんだか場違いな感じです。なので、立ち止まらずにそそくさと通過しました。


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小梨平キャンプ場の中を抜けていきます。一度、最終バスに間に合わずにここで宿泊したことがありましたが、平坦で日陰もあり、お風呂も売店もあってかなり快適なキャンプ場です。ここを拠点に周辺の山へ日帰りで登るというのもいいかもしれません。


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小梨平にクマが出たというニュースがありましたが、注意喚起の看板がしっかりと設置されていました。


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11:22 明神に着きました。上高地からは、1時間ごとに明神、徳澤、横尾と続くので、休憩にちょうどいい間隔です。ここは明神池と穂高神社奥宮があるので、観光客がたくさんいます。この先へ行くと、観光客はほぼいなくなるはずです。


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12:15 明神を出てしばらくは森の中を歩きましたが、川沿いに出たところで左手に明神岳が見えました。もう徳澤に近い場所です。


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上流を見ると、山がせり出して川幅が狭くなっているあたりが徳澤だったと思います。


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12:22 かつて牧場だった徳澤のキャンプ場が見えました。冬期に蝶ヶ岳に登った時にここをベースキャンプにしましたが、緑の時期にテント泊するのも気持ちよさそうな感じです。

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12:24 徳澤園に到着です。


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建物のすぐ前に炊事棟があったので、水の補給をしました。この日は、1時間ごとに水が補給できる場所があるので、水は0.5Lのペットボトルだけで歩きました。中に入ると、飲用の水場と手洗い用の水場とに分けられていました。


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炊事棟前の丸太のベンチに荷物を下ろして、休憩を兼ねてランチタイムをとることにしました。


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ランチは梅おにぎり2個で簡単に済ませました。


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13:43 徳澤からおおむね1時間で、横尾に着きました。ここでも休憩をとり、水を補給しておきました。この先は槍沢ロッジまで1時間半ほどかかりますが、すっかり日も陰って暑くないので、水は0.5Lだけで行くことにしました。


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これまでは、この橋を越えて涸沢方面にばかり行っていましたが、今回初めて槍沢方面に進みます。


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休憩を終えて槍沢方面に歩き出すと、”これより先は「登山エリア」です”と書かれた看板がありました。そういえば、明神を出てから横尾までの区間でも、ハイキング客らしい軽装の人とたくさんすれ違いました。昔は、明神を過ぎると、めったに登山者以外の人は見かけなかったという記憶がありますが、最近は横尾までは観光がてらのハイキング客が普通に入ってくるようです。なので、登山エリアの線引きは、明神ではなく横尾という認識なのでしょう。しかし、横尾まで来ても見るものは特にないので、何を目的にハイキングに来るのか良くわかりません。


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すぐ先で、槍ヶ岳方面と蝶ヶ岳方面の道が分岐しています。もちろん、左の槍ヶ岳方面に進みます。


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5分ほどで、川沿いの広い道が森の中へと入って行く場所があり、いよいよ登山道になったなと実感します。


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狭く、それなりに勾配のある道を上っていきますが、このあたりはまだまだ槍沢沿いの比較的なだらかな道なので、案外楽でした。


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苔むした岩の間を清流が流れ落ちる小さな沢を渡りました。ひんやりとした風が上流から吹き下ろして来て、ひとときの涼感に包まれました。しかし、この辺りから道の両側の笹の葉が濡れているのがちょっと気になってきました。明らかに雨が降ったということです。一時的に降ってすでに止んでしまったのならいいのですが、これからまた降り始めると面倒です。


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14:57 そんなことを考えながら歩いていると、心配していた通り雨がパラパラと落ちてきました。しばらくは様子を見ながら歩いていましたが、けっこう本格的に降り始めたので、木の下で雨を少し防ぐことができる場所を見つけて、レインウェアを着ることにしました。まずは、バックパックにレインカバーを装着しました。


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続いて、レインウェアの上下を着て、サコッシュにもレインカバーを装着しておきます。


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槍沢沿いの道は、比較的整備がきっちりとされている感じの場所が多く、石の階段や石畳が作られていてわりと歩きやすい感じでした。もっとも、雨で濡れてしまうとスリップに気を付けながら慎重に歩く必要があるので、それはそれで神経を使いました。


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15:20 一ノ俣に着きました。せっかく着こんだレインウェアですが、歩きはじめて10分もしないうちに雨はやんでしまい、暑くなってきたのでここで脱ぐことにしました。ところが、一ノ俣を出発してすぐにまた雨がパラパラと降ってきて「いい加減にしろ!」と誰に言うでもなく怒ったりしたおかげか、すぐに雨は止んでくれたのでそのまま歩き続けることができました。


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突然目の前に鉄骨で作られた立派な橋が現れ、ちょっとびっくりです。こんな山奥でこんなに立派な橋があるとは思いませんでした。


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15:38 橋を渡りきると、そこが二ノ俣でした。ここにもベンチがあって休憩するのにいい場所です。


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二ノ俣から少し歩くと、槍沢沿いの道になりました。冷たい渓流の水に触れた雨上がりの湿度の高い空気が冷やされて霧が発生し、そこにちょうど西日が射しこんできて、なんだか神々しいような美しい風景に出合うことができました。


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16:14 道の傾斜が次第にきつくなってきたころ、もうすぐ槍沢ロッジの看板がありました。もうすぐと言われると、ほんの1~2分ぐらいの距離を勝手に想像してしまうのですが、それほど甘くはありませんでした。


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しかも、道の勾配はますますきつくなり、いままで全然汗もかかずに歩いてこれたのに、ここにきて一気に汗が噴き出しました。


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16:21 もうすぐと書いてあったのに、全然着かないじゃないかよと悪態をつきながらきつい勾配の道を登り続けて、ようやく槍沢ロッジにたどり着きました。上高地を出てからすでに約6時間が経過していて、初日ということもあってけっこう体力を消耗していました。しかし、今日のゴールは、ここからまだ30分先にあるババ平です。


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キャンプ場の受付をするために小屋に入ってみると、なんと受付は現地で行うとのこと。おそらく17時で終わりになりそうなので、けっこう急ぐ必要があります。


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休憩もとらずに、すぐにババ平に向けて出発です。


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ところが、ここから先の道がさらに勾配がきつくなり、体力は削られるし汗はかくしで、大変でした。


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ようやく道が平坦になり、そろそろババ平に着くかと思いながら歩いて行くものの、なかなかそれらしい雰囲気になりません。


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17:01 いいかげんヘロヘロになって歩くのも嫌になりかけた頃、ようやくババ平に着きました。すぐに小屋に向かったものの、無情にも17時で終了との札がかかっていて、受付の窓も閉められていました。ただ、小屋の中に人の気配があったので、窓ガラスをノックすると女性がカーテンを開いて窓を開けてくれたので、テント泊の受付をしてもらうことができました。考えてみれば、受付が締め切られていたのなら、そのままテント泊して朝出発してしまえば、2000円払わなくて済んだわけで、何も無理して急ぐ必要はなかったのかもしれません。


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ババ平はそれほど広くて平坦なキャンプ場ではなく、小屋前の平坦な場所にはそれなりにテントが張られていて、場所はないわけではないものの、わざわざ混雑する場所にテントを張る気にはなれず、槍沢の方へ降りてみたら、整地されたいい場所があったので、そこにテントを張りました。


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ここは周囲にテントが張れる場所はなく、貸し切りの静かでいい場所でした。虫もあまりいなくて、テント設営中もほぼ気になるようなことはありませんでした。食事は入口をメッシュにしてテント内で済ませたので、虫にたかられるようなことは無かったのですが、テント外で食事をしていたら虫の被害にあっていたかもしれません。


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ちなみに、小屋前を槍ヶ岳方面に行った左手にも河原にそってテントが張れる場所が並んでいます。


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今回は、いつも使っているシルバーシートはやめて、4月の三室山から使っている片面にアルミ蒸着されたグランドシートをテント内のシルバーシートがわりに使いました。冬と違って地面からの寒さを気にする必要が無いので、少しでもかさばらないグランドシートにしたわけですが、クッション性がないこと以外はこれで何も問題はありませんでした。


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テントの設営ができたら、すぐに夕食です。今回も食事はすべてアルファ米とフリーズドライの食品ばかりです。軽さ優先で味やボリュームは二の次ですが、長丁場ということもあり、ボリュームを増やしてタンパク質をとるために、高野豆腐も持ってきました。


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高野豆腐は、味噌汁に入れて食べればそれなりにボリューム感が増して満足しました。アマノフーズのフリーズドライの親子煮もかなり美味で、十分満足感がありました。ちなみに、アマノフーズのフリーズドライは、ある程度冷ましたお湯(50度ぐらいか)であれば、容器のままお湯を注げばそのまま戻すことができるので便利です。メーカー推奨している方法ではありませんが、わざわざクッカーを使って戻さなくてもいいので助かります。熱いお湯だと容器が融けたりする可能性があるので、あくまでも熱めのお風呂ぐらいの温度のお湯を使うのがコツです。食べ終えた容器は折りたたんで平らにし、アルファ米の袋の中に入れて空気を抜いてジッパーを閉めれば、かさばらず匂いも出ないゴミ袋として使えます。


初日は、上高地からババ平までの歩行距離は約15㎞もありましたが、標高差は500mだったのでそれほどきつい登山という感じはありませんでした。しかし、穂高駅から上高地まで電車やバスでの移動があったので、けっこう疲れました。夕食後は、トイレと歯磨きを済ませたらさっさと寝袋にもぐりました。


真夜中に肌寒さで目が覚めたものの、丸まっていれば寒さも和らいできたので、特に何もしないでそのまま寝ることができました。しかし、それは標高がまだ2000mしかなかったからで、翌日以降、3000m級のテント場になると、丸まったぐらいではどうしようもないほどの寒さに襲われることとなったのです。

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つづく。


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