読書も温泉も格好の暇つぶし。
でもベストな暇つぶしは勉強なんじゃないかという気がしてきました。
勉強というと、字面がよくないのか、やりたくないのに親や先生に強いられて無理やり勉めるイメージです。
小中高と学校が大嫌いだった私は、無理強いされることにいつも反発していました。
大人になって通った学校は、コピーライター養成講座と占い学校、そして日本語教師の資格を取るための講座。どれも自分で選んで入った学校なので嫌になることはありませんでした。
子供の頃に勉強が楽しい暇つぶしだとわかっていたら、違った人生もあったかも。若いうちには勉強の楽しさはわからないと思いこんでいたのですが、日本語学校で教えるようになって認識が変わりました。
大学に入る前のギャップイヤーで来日して日本語を学んでいるけれど、大学では語学ではなく法学や物理学などまったく関係ない専攻を選ぶという学生がよくいます。
じゃあ何のために日本語を学ぶのかというと、アニメや漫画が好きというオタク趣味もありますが、アジアの言語を学んで視野を広げたいという動機もあります。ドイツやスイス、オランダ、ベルギーから来る学生はドイツ語、フランス語、英語を自在に話し、それに加えて日本語を学びます。
英語を中学生から学んでもまともに話すことのできない日本人からすれば、信じがたい話です。
そして、ひらがなをやっと覚えたらかたかな、さらに漢字という日本語表記のむずかしさに音を上げるんじゃないかと思うのですが、「むずかしいけれど、まったく新しいことだから、学ぶことが楽しい」と言います。
「勉強すればいい学校に入れる、そしてたくさんお金が稼げる」と勉強を手段にすると、勉強は苦痛でしかありません。勉強自体を目的にすると、それは上質な暇つぶしになることを学生から教えてもらいました。
今は学生にいかにおもしろく日本語を教えるかを考えるので手いっぱいですが、引退後に延々と時間があるなら、何か勉強してみたいと思っています
草津温泉のベルツ博士とスクリバ博士の像。ベルツ博士は明治初期に東京大学医学部に招かれ、草津温泉を訪れて温泉の効用を研究しました。