もうすぐクリスマス、そして新年がやってくる。世の中がお祝いムード一色に染まる一方、そんな空気感が苦手だという人もいる。年末年始になるときまって家族だんらんが求められるような風潮に、息苦しさを感じているのだという。
「家族だんらん」とは何なのか。なぜ絶対的な「善」とされてきたのか。現代家族のあり方について研究してきた社会学者の神原文子さんに聞いた。
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「家族だんらん」という考えは、明治期に欧米から日本に持ち込まれた「スイートホーム」という言葉に由来すると言われています。
ただ戦前は、家父長的家族制度に基づく男尊女卑の価値観が強く、跡取りの長男だけが優遇されるなど子どもの間にも序列がつけられていて、家族で楽しく食事をしたりおしゃべりしたりすることは必ずしも一般的ではなかったようです。
戦後の高度経済成長期以降、人びとの暮らしは、ムラ社会における、近隣住民も含めた大きな「家」という単位から、都市社会の核家族単位に移っていき、その中で「家族だんらん」という価値観が大衆化したと言えそうです。
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