第4回強権人事、かたやアットホームな官邸 主の関心競った末

【動画】安倍政権とはなんだったのか――。7年8カ月に及ぶ「最長政権」の権力の源泉が、人事権をフル活用した官僚の統治でした。その内幕を長期連載でひもときます。

安倍首相は身近な人々への優しさで知られる。お気に入りの秘書官を身近に留め置き、安倍官邸は結束した。しかし、それは外からの異論を妨げ、霞が関にひずみを生んだとも指摘される。

[PR]

「未完の最長政権」第1部第4回

 昨春、新型コロナウイルスの感染拡大の対策で、首相官邸に頻繁に出入りしていた官庁幹部は周囲に漏らした。「首相や秘書官たちが和気あいあいとしてアットホーム過ぎる。ある秘書官が新しい対策を打ち出すと、別の秘書官が『いいね』と盛り上がる。間違っていると思っても外からは異論を挟みにくい」

 集団的自衛権の解釈変更を実現するため内閣法制局長官を代える人事権を振るった首相の安倍晋三は、自らの方針に反対する官僚の首をすげ替える「強権」のイメージを与えた。一方で「安倍首相は自らが好む官僚には優しく、優遇する傾向がある」(事務次官経験者)と受け止められた。首相が気に入った首相秘書官は長く官邸に留め置かれ、「アットホーム」な雰囲気が生まれていった。

 しかし、こうした人事が霞が関にゆがみを及ぼしているとの指摘がある。

プレミアムA「未完の最長政権」

「1強」と呼ばれた安倍政権は、強い官邸をめざした改革の到達点だった。しかし、それは後手に回ったコロナ対応の遠因にもなった。安倍政権の内実に迫る長期連載です。

 昨年7月、外務担当の首相秘…

この記事は有料記事です。残り556文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

連載未完の最長政権-安倍政権から菅政権へ(全19回)

この連載の一覧を見る