寂聴さんと橋田寿賀子さん 手を取り合って語ったこと
瀬戸内寂聴さんの連載コラム「残された日々」。今月は4日に亡くなった脚本家・橋田寿賀子さんとの思い出をつづってくれました。同世代の2人が手を握り合って語ったこととは――。
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橋田寿賀子さんが、四月四日に亡くなった。今年の寂庵は桜が遅く、開花の華やかな最中であった。急性リンパ腫だったという。
いよいよ次は私の番だな。
橋田さんは一九二五年生(うま)れで、私は三歳早い二二年生れである。
私は四国の徳島で、橋田さんは大阪で、物心ついた時から、大人たちの口にする非常時という言葉の中で育った。「戦争」を空気や水のように呑(の)みこんで育った。
青春時代、恋の対象になる相手は、すべて戦争に捕られていて、まわりにはいなかった。
結婚の相手は、トラック一杯の女に、男一人と言われていた。
未婚の女たちは、結婚のかわ…
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