少子化の内実は? 子どもの数と親の学歴の関係、東大チームが分析
出生数が、また過去最少を更新しました。少子化をめぐっては最近、子どもの数と親の収入・学歴の関係を調べた論文が話題になりました。筆者の1人である東京大特任研究員の坂元晴香さんに聞きました。
◇
研究では、発表されている2015年分までの国の出生動向基本調査をもとに、1943~48年生まれ(現在73~79歳)と71~75年生まれ(現在46~51歳)を比較。子どもをもたない人の割合や、収入・学歴と子どもの数の関係を分析している。論文は、米国の学術雑誌「PLOS ONE」に4月、掲載された。
◇
子どもを持たない人は過去30年で3倍に
――少子化、少子化と毎年言われ続けていますが、今回、詳しく明らかになった背景は何ですか。
「子どもを持たない」人だけではなく、「子どもが2人以上」の人の割合も減っていることがわかりました。
まず、子どもを持たない人の数は、過去30年の間に3倍近くに増えていました。
――3倍ですか!
はい。私も純粋に驚きました。
1943~48年生まれと、1971~75年生まれを比較すると、子どもをもたない人の割合は、男性では14%から39%に、女性では11%から27%に増加していました。
背景を詳しく見るために、子どもの有無や数は収入や学歴によってどう変わるのかも調べました。
――その結果は?
男性は、高学歴、高収入、正規雇用の人ほど、子どもがいる割合や子どもが3人以上いる割合が増えていました。
一方、昨年の金融広報中央委員会の世論調査によると、20代の貯蓄の中央値は8万円でした。子育ては、約20年間お金がかかり続けるものなので、こうした状況が子どもをもつことをためらわせている可能性は、先行研究でも指摘されています。
「男女ギャップ」が映す現実
――女性は違うのですか?
女性は、出産時点では育休を…