ランドセル、どんどん重く? 大量の教科書とタブレットと水筒と…
来春から小学生の子どもたちを対象にした、ランドセル商戦が続いています。軽量化されたランドセルも相次いで出ていますが、問題はその中身。いまの小学生のランドセルの重さについて聞きました。
水泳用品メーカー「フットマーク」が昨年、小学1~3年生1200人に調査したところ、中身も含めたランドセルの重さは平均3・97キログラムだった。
また、90%の子どもが「ランドセルが重い」と感じていると回答。このうち2.7人に1人が、重い荷物を背負うことがおっくうで登校を嫌がった経験があると回答した。さらに3.1人に1人が、通学時に肩や腰・背中など身体の痛みを訴えたことがあったという。
大正大教授の白土健さんは、「ランドセルが重かったり痛かったりしても、子どもから言い出しにくい現状があるのではないか」とみる。
「置き勉」が進まない
ランドセルが重くなっている背景には、何があるのか。
まず、教科書のページ数は年々増え続けている。
一般社団法人教科書協会によると、各社平均で、2005年度が4857ページだったのに対し、20年度は8520ページと、15年間で1.7倍になった。すべての教科でページ数が増えているうえ、英語や道徳が必修化し、教科も増えた。
学校に教科書を置いておく「置き勉」が許されていない学校が多いことが大きい。冒頭の調査でも、46%の小学生が、学校で置き勉が禁止されていると回答した。
白土さんは、「通学時間、食事時間、睡眠時間もある中で、予習・復習のためにそこまで教材を持って帰ることが本当に必要なのかという教育論にもつながる」と指摘する。
「本来なら軽くなっているはずが…」
さらに、国主導でICT教育が推進されるなか、コロナ禍の休校の影響もあって、タブレットの支給が急速に進んだ。ケースや充電用のアダプターも入れて持ち帰ることを考えると、相当な重さになる。
また、コロナ禍の感染対策で各自、水筒の持参を求めるようになった学校も多い。
白土さんは、「本来ならデジタル化が進んでランドセルの中身は軽くなっているはずが、置き勉が進まないうちにコロナ禍でタブレットや水筒などランドセルの中身が増え、過渡期の問題が発生している」と指摘。「ランドセルの中身の議論に、これまで以上に大人が踏み込む時ではないでしょうか」と投げかける。