第5回カップルインフルエンサーは幸せをつかんだ 「特定技能」で得た自由

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 2人で暮らすアパートで一緒に日本語を勉強する姿や、自転車で並んで通勤する風景――。大阪のベトナム人カップルがSNSで発信する動画は、日常の何げない様子ばかりだ。

 それが、時には10万回以上も再生される。

 ディン・ティ・ノンさん(22)と恋人のグエン・ズイ・チュンさん(25)は、日本で働くベトナム人にとって、憧れのカップルだ。

 ノンさんがチュンさんの髪をバリカンで刈ったり、一緒に回転ずしをほおばったりする姿もある。

 「本当にかわいい」「あなたみたいになりたい」。飾り気がなく、仲むつまじい2人に、そんなベトナム語のコメントが次々と寄せられる。

 2人が看護補助の仕事をする城東中央病院(大阪市)には、全国のベトナム人から採用に関する問い合わせが来る。「SNSでノンさんを見て」という人も多く、インフルエンサーになっている。

 「動画に『幸せ』が見えるんでしょうね」。病院の人事担当者は言う。

技能実習生として来日…悔し泣きした日も

 2人は病院まで自転車で通える距離に、狭いながらもロフトの付いた、きれいなアパートを借りる。

 入居した日付を覚えているか聞いてみると、ノンさんは即答した。「2人の記念日。新しい暮らしがスタートした日だから」

「奴隷的」とも言われてきた外国人の日本での働き方が、「特定技能」という新たな在留資格で変わりつつあります。幸せをつかんだカップルや、転職を実現させた人――。「移民は入れない」のが建前だった日本で、何が起きているのでしょうか。

 病院での仕事は、お年寄りの…

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この記事を書いた人
浅倉拓也
大阪社会部
専門・関心分野
移民、難民、外国人労働者
玉置太郎
ネットワーク報道本部|大阪駐在
専門・関心分野
移民・外国人

連載気づけば「移民大国」 どうなる?日本への労働者(全30回)

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