全身に被覆材、ほぼ毎日交換 夏が終われば来る「のんちゃんの季節」

有料記事患者を生きる

野口憲太
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 千葉県柏市の葛西敦子(かさいあつこ)さん(50)は2015年、生まれたばかりの長男、望(のぞむ)くんが「表皮水疱(すいほう)症」と診断された。皮膚がはがれやすくなる希少難病で、傷の手当てを毎日しなければならなかった。

 在宅でのケアに慣れてきたため、復職しようと、望くんをあずけられる保育園を探し始めた。

 懸案は食事だった。この病気は、口の中や食道の表面をおおう粘膜もはがれやすくなっていて固形物は食べられない。食材をミキサーにかけた流動食をつくって与えてくれ、看護師が常駐している保育園を希望した。

 市に相談すると、「通えるかどうか、チャレンジしてみましょう」と条件に合いそうな市立保育園を紹介された。翌年の4~6月に見学、その次の年の4月に入園した。敦子さんも復職することができた。

 望くんは、被覆材を着けていても、靴を履いて歩くと足の裏やかかとに水疱ができてしまう。傷になって痛みが出る。移動には主に小児用の車いすを使っていた。

 保育園の運動会。入場行進で、先生に車いすを押されながら、望くんがほかの子どもたちと一緒にグラウンドに出てきたとき、敦子さんの目には涙があふれた。リレー競走では、ほかの子どもたちのスタート前に同年の園児と2人で半周を走った。障害物競走には、父の正輝(まさてる)さん(53)が抱えて参加した。

■小学校、ミキサー持ち込み流…

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