診療所もうけすぎ?財務省主張に医療界「心折れる」診療報酬巡り攻防
医療サービスの公定価格「診療報酬」の来年度の見直しに向け、議論の土台となる「医療経済実態調査」が24日公表された。物価高騰や約30年ぶりとなる大幅賃上げの中、引き上げを求める医療界と、マイナス改定を掲げる財務省との攻防が激しさを増している。
「一般病院の利益率は新型コロナ後に赤字が拡大し、総損益率も大きく落ち込む見込み。一般診療所の利益率は回復傾向にあるが、新型コロナの特例などの影響を除くと、コロナ前の3年間の平均を下回っている」。武見敬三厚生労働相は24日、医療機関の経営状況に関する調査結果をこう説明した。
精神科を除く病院の2022年度の損益率(収入に対する損益の割合)は、プラス1・4%で黒字。ただし、コロナ関連の補助金を除くとマイナス6・7%と赤字で、前年度から1・2ポイント悪化した。
厚労省は、水道光熱費などの経費の増大やコロナ禍の入院患者の減少が影響したと分析。特に水道光熱費は、前年度から32%増と急伸した。
一方、一般診療所(医療法人)の利益率は補助金を除いても8・3%の黒字。感染拡大下でのコロナ患者の診察やワクチン接種も収益を押し上げた。
それでも武見氏は「約900万人が働く医療介護における賃上げや処遇改善の実現は、人材確保の観点に加え、日本経済の消費につなげ、成長と分配の好循環を実現するためにも大変重要な課題」と強調。年末に決まる改定率では、医師や看護師らの人件費などに回る診療報酬の「本体」部分の大幅な引き上げが必要との考えを強くにじませた。
開業医の平均年収「3千万円」
一方、財務省は診療報酬の改…
【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら