第3回週末は教授のゴルフのお供 白い巨塔は「報われない」女性医師の幻滅
「おはようございます。教授の回診です」
病室のドアをノックして、入院患者に声をかける。大学病院の外科医だった30代前半の女性の朝は、そうやって始まった。
毎朝7時過ぎ、医局員総出で教授の到着を待つ。教授のためにエレベーターを呼び、乗り切れなかった医局員は遅れないように階段をダッシュする。隊列を組んで広い病棟を歩き回り、入院患者の様子を確認する。
それはそれで大事な仕事だったけれど、その後に待っている「教授の雑談」を聞く時間は、耐えがたかった。
朝の貴重な時間が刻一刻と過ぎていく中、医療とは関係のない時事問題や、趣味嗜好(しこう)の話などを聞かされる。長いときは1時間以上にもなった。「女の外科医はいらない」と、教授はよく言っていたっけ。
目を伏せて、うとうとしながら聞き流す日々。本当は10分でも寝たかった。
教授による「時間搾取」は、それだけではなかった。
週末は、教授の趣味のゴルフ…
- 【視点】
友人の医師(女性)に、医学部の不正入試問題についてどう思うか聞いたことがあります。 「でも仕方ないと思う。医師の勤務は長時間だし夜勤もあるし、妊娠出産もあるし…」 彼女の回答にもやもやしたものが残りました。過労死ラインを超えるような長時間労
…続きを読む