第4回大学病院は「もういっかな」 時給千円に愕然、女性医師が選んだ幸せ
午前0時を回っても、病院にいるのは日常茶飯事だった。
30代後半の女性医師は10年以上、都内の大学病院で内科医として働いた。
出産前は、外来後に病棟の患者を診たり、患者の手術が終わるまで待ったり。当直も週1回のペースでまわってきた。
土日も病棟を回り、勉強会にも出席した。休みがあまりなくても、できなかったことができるようになっていくのがうれしかった。
ただ、どんなに働いても給料は「ゼロ」だった。研修医のときは、月に20万円ほどもらえていたのに。
収入は、医局長が決める派遣先の医療機関のアルバイトで得た。週1、2回の勤務で多いときは月40万~50万円。ただしボーナスや交通費は出ず、健康保険は自分で国民健康保険に入った。
「無給医」の慣習は、ずっと前から続いていた。「少しくらいもらってもいいのでは」。先輩医師らと話をすることもあったが、「みんなそうだから」「仕方ない」。話はそれ以上、発展しなかった。
数年前、無給医問題がメディアで取り上げられ、大学病院が批判された。
「よくぞ取り上げてくれた」
先輩らと喜び、その後しばらくして、大学から給与が出るようになった。
だが、額を見て驚いた。時給は約千円。都の最低賃金をわずかに上回る額だった。
残業代もゼロ それなのに同僚は…
しかも平日の日中だけが対象…
- 【解説】
大学病院において、働いているのに給料が払われていない実態を「無給医問題」と言います。2020年に文部科学省が報告した調査結果によると、全国99大学108大学病院の31,801人の医師のうち、約1割に当たる2819人が無給医だったことが明らか
…続きを読む