両親に伝えた「イヤイライケレ」 中学1年生の熱い思いを生かすには

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上保晃平
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 公益財団法人アイヌ民族文化財団が主催するアイヌ語の弁論大会「イタカンロー」が12月上旬、札幌市で開かれた。5~81歳の24組29人が出場するなか、中学1年の佐藤千愛(ちあ)さん(13)=千葉県=は、アイヌ語で「話しましょう」を意味する「イタカンロー」と家族への特別な思いを語った。

 父の誠さんは北海道千歳市出身のアイヌ民族だ。幼い頃からいじめられ、出自を隠すようになった。母の佳子さん(58)には結婚直前に正座して打ち明けた。千愛さんが生まれたときも「うれしいけど、この血を受け継ぐのは複雑なんだ」ともらしたという。

 佳子さんは誠さんの出自を嫌うどころか、アイヌ民族の歴史や文化に関心を持った。刺繡(ししゅう)講座に通って衣装をつくり、車内ではアイヌ語の口承文芸を流した。

 千愛さんが小学校に入学した2017年4月、家族でアイヌ語教室に足を運んだ。千愛さんはすぐに上達し、同12月のイタカンローに初めて出場。子どもの部の最優秀賞に輝いた。誠さんは客席で涙を流していた。

 その頃、誠さんは大腸がんと…

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この記事を書いた人
上保晃平
北海道報道センター|事件・司法担当
専門・関心分野
人権、社会保障、障老病異