凶弾に倒れた「偉大なおやじ」 餃子の王将事件10年、長男の喪失感
「店で働いているときは気がまぎれるんやけど、一人になるとつらいですね」
関西を中心に全国でチェーン展開する中華料理店「餃子(ギョーザ)の王将」のある店舗で働く大東剛志(おおひがし・つよし)さんは、今も喪失感を抱えている。
父の大東隆行(たかゆき)さんは10年前、餃子の王将を展開する「王将フードサービス」の社長だった。本社前で射殺された。
隆行さんは1969年、姉の夫が創業した「王将」に入店。営業本部長や専務取締役を歴任した。
幼い頃の剛志さんにとって、仕事で飛び回る父親は遠い存在だった。
それでも小学生の頃、朝早く起きて琵琶湖に釣りに連れて行ってくれたことを覚えている。月に1度は家族みんなで焼き肉やすしを食べに行った。
「忙しいながらも、子どものために時間をつくってくれたんやと思う」
剛志さんは高校の頃から王将の店でアルバイトを始め、20代で入社した。
その後の2000年、隆行さんは4代目の社長に就任した。
社内で時々顔を合わせることはあったが、特に話はしなかった。実家の近くを通ったとき、忙しい身を案じて「元気か」と声をかけると、「大丈夫やで」と短い答えが返ってきた。そんな日常がずっと続くと思っていた。
2013年12月19日午前5時45分ごろ、父の隆行さんは1人で乗用車を運転し、京都市山科区の本社に出社した。
本社前の駐車場で車を降りた直後、拳銃で腹や胸を4発撃たれた。至近距離から撃たれたとみられている。
出勤した従業員が倒れている…
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- 【視点】
サツ回り時代に知り合った捜査員の中で、デキる人に限ってこう言って、自らを鼓舞していたことを思い出す。「検挙に勝る防犯なし」。 〈京都府警は背後に指示役がいたとみて捜査を続けているが、事件の全容解明には至っていない〉。 それではアカンね
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