第6回刑罰目的が「懲らしめ」から「立ち直り」へ 刑務所はどう変わるのか

有料記事刑務所で学び直す

聞き手・多知川節子
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 「社会での生きづらさに気づかれなかった人が刑務所に多く来ている」

 刑務所での勤務経験もある龍谷大学の浜井浩一教授(犯罪学)はこう指摘する。2025年6月施行の改正刑法で、刑罰の目的が「懲らしめ」から「立ち直り」に大きく転換するのを前に、刑務所での教育や作業はどうあるべきか、浜井教授に聞いた。

 ――犯罪白書によると、22年の刑法犯のうち再犯者の占める割合は47.9%。過去最高の49.1%だった20年から微減したものの高止まりしています

 その年に検挙された人のうちどれだけが再犯者かを示す「再犯者率」は上昇傾向ですが、実は再犯者数は減っています(ピークは06年の約15万人。22年は約8万1千人)。ただ、それ以上に初犯者数が減りました(ピークは04年の約25万人。22年は約8万8千人)。検挙者数という分母が小さくなっているため、再犯者率が高くなるのです。

基礎学力を欠くことで再犯を繰り返してしまう受刑者の学び直しを追ってきた記者が、犯罪学者に刑務所のあり方を聞きました。改正刑法の趣旨を現場で生かす改革のカギとなるものとは――。

 初犯者が減るのは良いことですが、逆に言うと、再犯者は減りが鈍いということです。

障害や認知力の課題に気づかないケースも

 ――その要因は何でしょうか

 窃盗や無銭飲食などの詐欺は…

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2024年4月29日9時0分 投稿
    【視点】

    社会から遠ざけようとする意識を感じながら、社会でさまざまな困難にぶつかって孤立する。そんなふうに、“孤立を選び取ったのではなく、孤立に追いやられてしまうようなこともある”という観点から「学ぶ(学び直す)意欲」や「働く意欲」に応える「学ぶ場」

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    島沢優子
    (ジャーナリスト・チームコンサルタント)
    2024年4月29日14時50分 投稿
    【視点】

    刑務所内を見学したことがあります。職員の方も同行しているためか、受刑者の方々が私たちと出会うとすごく大きな声であいさつをされるのです。お辞儀は90度。職員の方の指示への返事も昔の軍隊のようでした。あまりに異世界でとても驚かされました。あくま

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