「関西検察では神」だった元検事正 定年前の退官「早すぎ」との声も

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 大阪地検トップの検事正を務めた北川健太郎容疑者(64)が準強制性交の疑いで大阪高検に逮捕された事件で、高検は、逮捕容疑の詳細は「一切言えない」とした。

容疑の内容示さぬ検察、識者「不祥事隠しできる」

 高検が逮捕を発表したのは25日午後。「下記被疑者を準強制性交等で通常逮捕した」とするA4の発表文1枚を報道機関に配ったが、記されたのは容疑者の氏名や職業などで、いつ、どこで、どのような相手に、何をしたのかという逮捕容疑の内容は示さなかった。

 また高検は記者会見は行わず、報道各社の取材に1社ずつ応じる形式を取った。逮捕容疑について、高検の小橋常和・次席検事は「被害者のプライバシーがある。特定につながることは一切差し控える」と繰り返し、現場は「日本国内」などと認めるにとどめた。

 ジャーナリスト大谷昭宏さんは「性犯罪の被害者のプライバシー保護は必要だが、容疑内容を一切公表しないのは公権力の行使として許されない。プライバシーに配慮しつつ、事件の日時などできる限り情報を公開すべきだ」と話す。

 「特にいつ被害の訴えがあったかは重要」といい、「仮に容疑が検事正の時であれば、握りつぶしたとの疑念も生まれる。適切な捜査はなされたのか。なぜこのタイミングでの逮捕なのか。それらが外部から検証できない」と指摘する。大谷さんは「今回のような発表を認めれば、プライバシーを隠れみのに身内の不祥事を隠すことがまかり通ってしまう」と危惧する。

 今回、なぜ高検が逮捕したのか。元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士は「一般論として、地検の検事に違法行為の疑いがある場合、公平さを担保するために(上級庁の)高検が捜査を行い、逮捕することはありうる」との考えを示した。

歩んだエリートコース 「検事長候補の一人」

 逮捕・起訴の権限を持つ検察…

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    小西美穂
    (関西学院大学総合政策学部特別客員教授)
    2024年6月26日1時13分 投稿
    【視点】

    元大阪司法記者として、驚きを禁じ得ません。検事正在任中の事件となると、5、6年前のことになります。検察のエリートコースを歩みながら、大阪地検検事正を最後に、定年まで3年を残して退官したとのこと。事件発生当時から何らかの形で被害の訴えがあった

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    西岡研介
    (ノンフィクションライター)
    2024年6月26日11時59分 投稿
    【視点】

    大阪地検検事正在職中の事件ならば、上級庁である大阪高検の当時の管理監督責任も問われて然るべき。にもかかわらず、「被害者のプライバシー」を盾に、「いつ」、「どこで」、「何をした」などの最低限の逮捕容疑も明らかにしないとは、一体、何様のつもりか

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